性格の統合因子と給料の多さ
パーソナリティ(性格)について,いくつの因子(次元,特性)があるのかという問題については,長い間,検討されてきました。その研究のおおもとになっているのは,辞書から人間の性格用語をいくつ抜き出すことができるかという研究です。
そこから調査や統計処理,特に因子分析を使って,いくつの因子で人間の全体的な性格を捉えるのが適切なのかという研究が重ねられていきます。そしてそのうち,5つの次元から人間のパーソナリティを捉える,ビッグ・ファイブ・パーソナリティや,5因子モデルと呼ばれる枠組みが多くの心理学者に受け入れられていくようになりました。
一般因子
一方で,知能のようにパーソナリティにも統合的な一般因子が観られるのではないかという研究も行われます。早い段階だと,1910年代にすでに,知能のまとまりとそれ以外のまとまりについて研究が行われた報告があります。
現在では,パーソナリティについては階層構造をとるモデルがよく用いられます。これは,いちばん細かいレベルのパーソナリティ特性が複数まとまって上位のパーソナリティ特性を作り,またその上に複数のまとまりができ……と,トーナメント表のようにパーソナリティがあつまっていくことをイメージするとよいでしょうか。
そして,その一番上に,パーソナリティの一般因子(GFP)がある,と主張している心理学者たちがいるというわけです。GFPは,外向性,開放性,協調性,勤勉性が高く,神経症傾向が低い,全体的に望ましい方向でまとまる因子です。これに意味があると主張する研究者もいれば,もちろん,それはちょっとやり過ぎだろうと批判する心理学者たちもいます。
職業との関連
パーソナリティ特性だけでなく,どのような心理学的な特性も,何かを予測することができると「価値がある」と評価されるようになります。特に,社会的に望ましい,あるいは望ましくない事柄を予測する特性は「価値がある」と考えられます。
学業成績でも,学歴でも,収入でも,幸福感でも,心身の健康でも,生きるか死ぬか,でもそうです。GFPも同じです。もしもGFPに価値があるなら,それは社会のなかで何か特定の事柄を予測できることが示されると,その価値が認められることでしょう。
では,GFPが高い人は収入が多かったり,仕事の中でリーダーシップを発揮する傾向があったりするのでしょうか。
では,こちらの論文で確認してみましょう(The General Factor of Personality (GFP) is associated with higher salary, having a leadership position, and working in a social job)。
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