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ホグワーツでどの寮に入りますか

ハリーポッターたちが初めてホグワーツ魔法学校に到着したとき,組み分け帽子がそれぞれの寮を決めていきます。

グリフィンドール:意志が強く勇敢
ハッフルパフ:愚直で誠実,心優しい
レイブンクロー:勤勉で賢い
スリザリン:野心に満ち狡猾

ちなみに,Pottermore.comに登録すると,いくつかの質問に答えながら組み分けをしてもらうことができます(質問は英語です)。私もやってみたところ,レイブンクローに組み分けされました。
組み分け帽子がハーマイオニーをここに入れようかと悩んでいた様子が記憶に残っています。

今回は心理学(性格心理学)の基礎知識と,ホグワーツの組み分け帽子の結びつきについて考えてみたいと思います。

目次

・分ける=分かる
・人間を分ける
・ホグワーツの寮と四気質
・血を抜く
・体液バランス
・血液型?

分ける=分かる

混沌としたものごとを分類することは,学問の基本であり,ものごとを理解するための重要な方法です。

日本語で「分かる」という言葉が「分ける」と同じ語源であることからも,分類が理解への一歩となることが分かります。ただ英語ですと,comprehend, understand, seeなど,「全体を見る」「見る」「近くにいる」といった意味から「分かる」が来ているようです。ここには学問やものごとを考える際の歴史的な違いが現れているのかもしれません。

さて,古くから,季節を4つに分類する,世界の物質を4つに分類する(火・空気・水・土)など,さまざまなものを少ないカテゴリに分ける試みが行われてきました。そこでのカテゴリの数はだいたい4つか5つ。片手で数えられる程度の数が便利だったのかもしれません。

多種多様な生物を哺乳類,は虫類,両生類,魚類など複数のカテゴリに分類します。もっと広い分類であれば,真核生物と真正細菌と古細菌とか,植物界と菌界と動物界とか,分類の仕方にも階層構造があります。

人間を分ける

古代ギリシャ時代の医師ヒポクラテス(紀元前460年頃〜紀元前370年頃)は,人間がもつ4つの体液の調和が崩れると病気になるという四体液説を唱え,体液の調和を目指す治療法を考案しました。

またローマ帝国時代の医師ガレノス(129頃〜200頃)はヒポクラテスの四体液説を継承し,これを古代の四大元素や季節に対応づけ,人間の気質的な特徴(いわば性格のようなもの)とも対応づける四気質説へと発展させました。

四気質説の特徴とは,次のようなものです。

多血質(sanguine):快活,明朗で社交的,娯楽が好きで健康的。
黄胆汁質(choleric):荒々しく短気,行動的,野心が強い。
黒胆汁質(melancholic):寡黙,孤独,心配,用心深い,思索にふける。
粘液質(phlegmatic):臆病,公平,おだやか,静か

多血質が血液(空気・春・幼児期),黄胆汁質は胆汁(火・夏・思春期),憂鬱質とも呼ばれる黒胆汁質は黒胆汁(土・秋・成人期),粘液質は粘液(水・冬・老年期)という対応やイメージをもちます。

Wikipediaには,4つの体液に対応した人物像を描いた美術作品も掲載されています。たとえばこの絵は,ヴェルサイユ宮殿の庭のために作られたデザインだそうです。またドイツのフランクフルトの建物にもこのようなレリーフがあるそうです。

(ここから有料です。ホグワーツの寮と気質はどう対応するのか,ジョージ・ワシントンの死因が血を抜かれすぎだったという話や,こんな古代の知識が今の日本にも影響しているのではないかという話を考えていきます)

ホグワーツの寮と四気質

ハリーポッターのような,ファンタジーの歴史をなぞる物語にも,この四気質の考え方が影響することがよくあります。それは,この古代ギリシャ,ローマ時代の考え方がルネッサンス以降のヨーロッパによく広まっていったからです。

とはいえ,もちろん「そのまま」となるわけではなく,アレンジされていたり混ざり合っていたりすると思います。

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