国家レベルの汚職の程度と人々の性格
腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index: CPI)という数値があるのをご存じでしょうか。政府,政治家,公務員など公的分野での腐敗度を,調査報告に基づいてスコア化し評価したものです。0ptsから100ptsで評価されており,点数が高い方が汚職が少ないとされます。ちなみに……
◎1位:デンマーク
◎2位:フィンランド
◎3位:ニュージーランド
◎4位:ノルウェー
◎5位:スウェーデン
と並んでいって,日本はベルギーやイギリスと同順位の「第18位」となっています。
国家腐敗
国家の腐敗とは,「私利私欲のために公権力が行使される程度」であり,エリートや私利私欲による国家の掌握だけでなく,小さな汚職も大きな汚職も両方を含むものだとされます。
全世界で,賄賂や横領などという形での汚職は,年間3.6兆アメリカドル程度の損害が与えられていると推定されています。これだけの損害が与えられている国家レベルの汚職に対して,研究者たちの興味が集まっているのも理解できる数字です。
腐敗の関連要因
これまでの研究では,国家の腐敗を予測する要因として,パーソナリティ,文化,富や資源に焦点が当てられてきました。国レベルの話ではありませんが,汚職に関しては記事にしたこともあります。
国の文化も,国家レベルの汚職レベルに関連しそうです。ただし,文化の指標にはいろいろなものがあって,これまでの研究を見ていっても,統合することはちょっと難しそうではあります。ある文化に属する人々は,価値観や行動,認知パターンに共有する部分がありますので,汚職に対するとらえ方も文化によって異なるということは十分に考えられます。
では,パーソナリティ特性と文化の観点から,数十ヵ国にわたる調査データを分析した研究を見てみましょう。こちらの論文です(Corruption revisited: the influence of national personality, culture, and wealth)。
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