ナルシストが組織で成功するとき
ダークな性格の持ち主であっても,つねに不適応を引き起こすわけではない,という考え方は重要です。
この考え方は,どのような心理特性の持ち主であっても,社会の中でうまく適応できる場所が存在する,という点からも重要です。また,どうして一見役に立たなそうな,むしろ社会にとってよくないとされる心理特性が私たちの間で見られるのかという観点からも重要です。
誇大なナルシシスト
これまでにも何度も,ナルシシズム(自己愛)的なパーソナリティ傾向については記事にしてきました。ナルシシズムには,大きく分けて誇大型と過敏型という2つの側面があります。
これまでの研究の中でも,誇大型のナルシシズムの持ち主が,企業の中で高い地位に就く傾向があることが報告されています。ということは,出世という観点からすると,ナルシシズムは役に立つということになるでしょうか。
リーダーシップ
ナルシシズムの高い人は,特に能力が高いという証拠があるわけではありません。ところがその一方で,リーダーシップの役割を発揮するような立場につく傾向があるという報告があるのです。
どうして自己愛的な人物はリーダーのような立場に就きやすいのでしょうか。たとえば対人関係の要因です。自己愛的な人物はそうではない人に比べて,政治的な対人関係活動をとりやすいという傾向が報告されています。権力を誇示したり,特別扱いを受けることを求める傾向も見られます。自己宣伝や力の誇示,という観点から,ナルシシズム傾向が高い人は他者にアピールしやすいと考えられます。
ナルシシズムとリーダーシップが結びつくとき
その一方で組織の中での政治的な活動は,他者を貶めたり必要な情報を隠したり,非倫理的な活動を行ったりすることに無結びつきやすいものです。そんなときに必要となる要素として罪悪感に注目した研究があります。ナルシシズムが高くても,罪悪感が伴っていると集団の中であまり非倫理的な活動に従事しないかもしれません。
でも実際にそのような現象は見られるのでしょうか。この論生んで確認してみましょう(Organizational power and politics: The narcissist's advantage?)。
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