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精神症状と性格との関連

割引あり

昔から「病前性格」という考え方があります。ある病気になる前に,特徴的な性格が見られるのではないか,という考え方です。

特にうつ病の病前性格は,昔からよく研究されてきました。メランコリー親和型性格というのが,特によく知られています。

具体的にはきちょうめんかつ完璧主義で、責任感が強く、対人関係も配慮が行き届いているような性格傾向で、このような人は過度に高い要求水準をもっているため、きちんと仕事をこなし、周囲からも高い評価を受けることが多い。しかしその結果、消耗状態に陥ってうつ病になると考えられる。


ビッグ・ファイブ・パーソナリティ

ビッグ・ファイブ・パーソナリティは,人間の性格全体を5つの次元で表現する方法です。

◎ 外向性:自己主張が強い,エネルギッシュ,おしゃべり
◎協調性:やさしい,お人好し,信頼できる
◎勤勉性:我慢強い,整然としている,責任感が強い
◎神経症傾向:情緒不安定,不適応,落ち着きが ない
◎開放性:想像力豊か,好奇心旺盛,知的

ビッグ・ファイブ・パーソナリティは,病前性格として機能するということはあるのでしょうか。ある病気に対して,事前に特徴的な組み合わせの性格が見えるようであれば,病気の理解にもつながるはずです。

メンタルヘルス

個人の人生の中で,メンタルヘルスをうまく保っていくことは重要です。日々の出来事の中で,どうしても落ちこんだり不安に思ったりしてしまうことがあるものです。そのようなときに,うまく対処することができるのか,そもそもストレスに対して強かったり対応できたりするものなのか,という点が問題になりそうです。

多くの研究は,ひとつかふたつのパーソナリティ特性と精神疾患との間の関連を検討してきました。しかしこの数十年,ビッグ・ファイブ・パーソナリティが見出されてからは,ビッグ・ファイブ・パーソナリティをまとめて検討する機会も増えてきました。

メタ分析

今回紹介する研究は,パーソナリティ特性と精神的健康との関係を検討するために,ビッグ・ファイブ・パーソナリティと精神障害の症状との間の関係を,先行研究をまとめるメタ分析で検討するものです。メタ分析を行うことで,個別の研究ではたまたま生じた関連を,統合して評価することができるようになります。

ビッグ・ファイブ・パーソナリティにはその下位にファセットもありますが,5つの次元について基礎的な知見を見出すことが試みられています。では,こちらの論文を見てみましょう(The Relationship Between the Five-Factor Model of Personality and Symptoms of Clinical Disorders: A Meta-Analysis

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