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子どもたちの気質は時間を越えてどれくらい安定しているのか

小さな子どもたちの心理学的な個人差のことを,気質(temperament)と言います。これは生物学的な基盤が大きいとされるもので,環境との兼ね合いで子どもたちの成長に影響を与えていきます。

自分自身も経験していることなのですが,同じ親からうまれるきょうだいでも,ずいぶん違った気質になるものです。これは,なかなか予測できるものではありません。


安定

パーソナリティや気質が安定するとは,どのような状態を指すのでしょうか。

まず思いつくのが,平均値の安定性です。年齢とともに集団の平均値が変化していき,どこかで平均値の変化がストップすることを安定と見なすという考え方です。

次に,順位の安定性です。高い得点を示していた人が時間が経つと低くなり,低い得点を示していた人が高くなると,集団の中で得点の順位が入れ替わることになります。その順位の入れ替わりがあまり生じなくなることを,安定と見なすということです。

さらに,構造の安定性です。心理変数どうしの関連が変わるということは,ある心理変数の意味が年齢とともに変わっていくということを意味します。そこで,心理特性どうしの関連が年齢とともに変化していき,どこかで年齢に伴う関連の変化が生じなくなることを安定と見なすという考え方です。

加えて,個人内の安定性です。ある人の中で,ある特性の得点が高く,別の得点が低くなる,ということが生じます。年齢とともにさまざまな経験をする中で,個人の中で何が高いかは変わっていく可能性があります。そして,ある年齢に至ったときに,個人の中の得点の高低が変化しなくなっていくことを,安定と見なすという考え方です。

よく「○歳で性格は完成する」といったことばを見聞きするかもしれませんが,そこでの「完成」というのは,どのような現象を指しているのでしょうね?

安定度は変わるのか

子どもたちの気質は,どれくらい時間を越えて安定するものなのでしょうか。また,どんな境遇に置かれた子どもが安定する傾向があるのでしょうか。皆さんはどう思いますか?

◎年齢が上がるほど安定する?
◎出生順によって安定度が変わる?
◎男女によって安定度が変わる?
◎未熟児かどうかで安定度が変わる?
◎社会経済的地位によって安定度が変わる?

実際に,これらの安定度の違いが生じるのかどうかを検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Infant Temperament: Stability by Age, Gender, Birth Order, Term Status, and SES)。

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