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政治的志向とビッグ・ファイブ・パーソナリティ

割引あり

政治に関連する一連の価値観や信念のことを,政治的志向性といいます。あるいは,人々が自分の好みの社会的集団に適合するための,自傷する立場として政治的志向性ということばを用いることもあります。

普段の生活の中ではあまり気にすることはないかもしれませんが,政治的な投票の場面になると,それぞれの人は自分が属したいと考える社会的集団と同じ政治的志向性を受け入れる方向に考えがちです。



政治的な志向性にどのような「軸」があるのかということについては,これまでにもあれこれと研究がおこなわれていきました。

たとえば,「リベラルか保守か」という軸です。「保守」という方向性は,「変化への抵抗(現状維持)」と「不平等の受容(勝ち負け,自己責任,格差の許容)」という要素が大きなところを占めています。

経済的な保守主義と,社会的な保守主義を区別する研究者もいます。経済的な平等を拡大していくべきか(平等主義),政府が経済に関与していくべきか(介入主義)です。この部分だと,できるだけ平等に介入しない方向性が,左翼的志向の本質だと考えられます。

社会的にはリベラル方向だけれども経済的には保守的な方向(あるいは逆),という政治的な志向性は十分にあり得ることです。


性格

ビッグ・ファイブ・パーソナリティのような性格要因は,政治的な志向性に関連することがこれまでの研究でも示されています。おおよそ,開放性の高さはリベラル方向,勤勉性の高さは保守方向に関連します。これは,アメリカの二大政党のどちらを支持する傾向にあるかとも関連します。

今回紹介する研究は,スロバキアで行われたものです。以前はチェコ・スロバキアだったのですが,1993年に独立した国です。私も何人か,知り合いがいるのですよね。スロバキアには独自の政治的な特徴もあるのですが,ビッグ・ファイブ・パーソナリティに関連するのでしょうか。では,こちらの論文を見てみましょう(The Big Five Offers Only a Weak Prediction of Politics, Regardless of the Approach)。

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