知能と創造性との関連

知能と創造性は，私たち人類の発明や発見にとって不可欠な要素です。知能については，100年以上前に知能検査が開発されて以降，基本的にその枠組みがずっと続いてきています。それに対して，創造性の測定は確定しているわけではありません。

拡散的思考

創造性については，いろいろな観点があって，なかなか難しいものがあります。自分自身でどの程度創造的だと考えるかという測定方法もありますし，各種の創造性検査も開発されています。

その中で，歴史的にもいちばんよく研究されているのが，拡散的思考（divergent thinking）です。これは，どれくらい幅広く多様な思考をすることができるかどうかを問題とすることです。

拡散的思考は，創造性とは全く同じではありません。しかし，認知的な創造性の重要な要素だと考えられます。一般的に言われる創造性というのは，拡散的な思考が何かの形となり，さらに社会に変革を起こすような場合を指しているのではないでしょうか。しかし，社会的に全く影響のない拡散的思考というのは，とても多くあります。

知能と創造性

知能は，答えのある問題をどれだけ素速く正確に回答することができるかを問題にします。一方で拡散的思考は，創造性そのものではないとはいえ，どれだけ多様な思考を数多くすることができるかを問題とします。

この両者にはどれくらいの関連があるのでしょうか。メタ分析で検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう（The Relationship between Intelligence and Divergent Thinking—A Meta-Analytic Update）。

The Relationship between Intelligence and Divergent Thinking—A Meta-Analytic Update