見出し画像

経営と監査は会社の両輪、企業統治を機能させ利益に貢献したい。

 2023年6月、ヒューマンホールディングスの常勤監査役に就任した松田  伊規(よしのり)さん。16年間の銀行勤務を経て当グループに転職、以降20年以上にわたり財務一筋に歩んでこられました。これまでのキャリアを振り返ってもらいつつ、常勤監査役としての抱負を伺いました。


ヒューマンホールディングス株式会社  常勤監査役  松田  伊規さん

——まずは、これまでのキャリアを教えてください。

 2000年12月に中途でヒューマングループに入社しました。前職は銀行員です。預金から法人融資まで一通りのことを経験したキャリアを活かし、転職後は財務一筋に歩んできました。財務部門は銀行からの資金調達がおもな仕事の一つです。前職では企業からお話を受ける立場だったので、銀行がどのように考えるのかがよくわかります。そのため業務内容に違和感はなく、非常にスムーズな転職となりました。

——当時、外部からヒューマングループをどのようにご覧になっていましたか?
 
 当時は、メイン事業の教育と人材に介護事業も加わり、会社が拡大成長していった時期でした。資金があり、成長分野で業績を伸ばしている。転職先としても、まったく懸念はありませんでした。結果論ですけど、それは間違いではなかったですね。
 当社は銀行に比べると、かなり柔軟性のある会社です。取り扱う業務の特性もありますが、銀行では統一されたルールを遵守することや慣例に倣うことを重視する傾向がありました。それに比べると当社は自由で、事業やサービスもそのときどきのニーズにあったものを臨機応変に提供しています。それは、ひとりのアイデアや努力で会社を変えていけるチャンスがあるということを意味します。そんな新しい挑戦を受け入れられるカルチャーは、当グループの大きな魅力だと思っています。

——転職後の業務で印象に残っていることは?

 入社当時は一担当として銀行に出向き、決算内容の説明や融資の交渉を行っていました。ときには銀行から支店長や頭取が来社することもあり、そういうときは当社もトップに対応していただきます。社歴の浅い時期から経営のトップに接して、事業への想いや考えを直接聞くことができたのはとてもよかったと思っています。
 そう言えば転職したばかりの頃、いまのファウンダーである佐藤会長とクルマで銀行回りをしていたんですね。運転好きのファウンダーが自ら運転するとおっしゃるので、私と当時の上司は後部シートに座らされました。銀行に着くと、ファウンダーが運転席から、私たちが後部座席から降車するので、なんだか罰が悪かったですね(笑)。

——早くから経営のトップに接していたことで、ご自身もやがては経営に携わるポジションに就こうとお考えになりましたか?

 いえいえ、そんな野望はなかったです。いま常勤監査役として役員に名を連ねていますが、それもこれまでの実績を認めていただいた上で拝命しただけのことです。ただ、銀行時代から培った自分の経験をプロとして活かしたい、ファイナンスに関する部分では誰にも負けたくない、そういう想いは常々持っていました。

——監査役について教えてください。

 現在、ヒューマンホールディングスでは社内外に監査役を置いていますが、そのうち常勤監査役は私を含めて3人です。監査は大きく、会計監査と業務監査に分けられます。会計監査はとくに専門的な知識を必要とするため、会計士の資格を持ったスタッフを多数抱える監査法人に託すことが一般的です。
 一方で私たちが行っている業務監査は、経営者のアドバイザー的なポジションと言えるでしょう。監査役と聞くと「会社経営の適法性をチェックする見張り役」と思われがちですが、決してそうではない。経営と監査は会社の両輪なのです。会社が健全に事業を継続していくために、コーポレートガバナンス(企業統治)を機能させ、すべてのステークホルダーの利益に貢献する役割です。

——それを実現するため、具体的にはどのようなことをお考えですか?

 経営が健全に執行されているかどうかを確認するためには、グループで働く皆さんの声を聞く必要があると考えています。そうしなければ正しい判断ができません。だからまずは、いろいろな方の話を聞かせていただきたい。誰もが会社を良くしていきたいと考えているでしょうから、ぜひ忌憚のない意見を聞かせほしいですね。
 
——銀行員も財務も、とりわけ公正さが求められる職種ですが、これまでどのようにしてご自身を律されてきたのですか?

 いま振り返ると親の育て方がよかったのかなと。若い頃は反発していたんですけどね(笑)。父は国家公務員で、JIS規格の審査に携わっていました。母からも「人に迷惑をかけるな」と常々言われていたものです。そうした親の価値観を知らず知らずのうちに継いでいるのかもしれません。
 また銀行でも当社でも、これまでにさまざまな役職を与えられてきました。その時々で、絶対に不正をしてはいけない、部下の模範にならなければなど、あらためて自身を律することが多かったように思います。このように与えられた立場が、自分を成長させてくれたような気がしますね。

——今後の目標をお聞かせください。
 
 これまでのキャリアを活かすにしろ、まだまだ足りていないところもあるので自己研鑽を続けたいと考えています。常に公正を重んじ、皆さんから信頼される監査役になりたいですね。いま私は63歳。キャリアの締めくくりと心得ていますので、人生最後の職歴として悔いのない仕事をしたいです。
 
——最後に、若い社員に向けてメッセージをお願いします。
 
 いまの若い人は、キャリアを積み重ねるために転職を繰り返す人が多いような気がします。私が若い頃は「3年はどこで働いても一緒だよ」と先輩に言われたものです。それは「3年は働いてみないと、仕事の厳しさも、その先にある喜びや楽しみもわからない」という意味だったのでしょう。いま私も同じことを若い人たちに伝えたい。短期的な目線でキャリアを選択するよりも、まずは3年、目の前の仕事に真剣に取り組んでほしい。その経験は、かならず皆さん自身を成長させてくれると思います。


※2023年7月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものとなります。

<ヒューマンホールディングス株式会社・会社概要>
 
ヒューマングループは、教育事業を中核に、人材、介護、保育、美容、スポーツ、ITと多岐にわたる事業を展開しています。1985年の創業以来「為世為人(いせいいじん)」を経営理念に掲げ、教育を中心とする各事業を通じて、労働力不足、高齢化社会、待機児童問題など、時代とともに変化するさまざまな社会課題の解決に取り組み、独自のビジネスモデルを展開してきました。
 人と社会に向き合い続けてきたヒューマングループは、いま世界全体で達成すべき目標として掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に取り組んでいきます。SDGsへの貢献を通じて、「為世為人」の実現を加速させ、より良い社会づくりに貢献していきます。


この記事が参加している募集

オープン社内報