#17 オリヴェシのアーチ型の教会(フィンランド)
イベントに参加するため、タンペレの一駅先にあるオリヴェシに数日滞在しました。オリヴェシはタンペレから約40km、人口8800人ほどの小さな町です。私も初めて聞く地名でした。町の教会は閉まっている日でしたが、偶然葬儀が執り行われていて、終わった後に中を見せて頂けることになりました。
最初に目に入るのがこの古い鐘楼。てっぺんの玉ねぎ頭が可愛い。木造の鐘楼は1780 年に、マッティ・オーケルブロム(Matti Akerblom)によって建てられました。
教会は道を挟んだ反対側にあります。
鐘楼とは対照的なモダンな教会は、火災で焼失した古い教会の跡地に1961年に建てられました。
古い写真をネットで発見。教会と鐘楼が兄弟みたいに対になっていますね。
目線の高さだと円形にみえますが、上から見るとアーチを組み合わせた、葉っぱみたいな形をしています。
設計したのは、建築家夫妻のカイヤ & ヘイキ・セイレン (Kaija & Heikki Siren) ふたりはアアルト大学のオタニエミ礼拝堂の設計も手掛けました。 私はオリベシの教会について全く知らずに訪れたので、びっくりでした。
こちらが入り口です。門から見たのとはまた違う雰囲気で素敵! 入り口は墓地の方を向いていて、鐘楼側の門からは見えません。光を取り込むことを意識して、この向きになったのかも知れません。
それでは中へ。
祭壇を取り囲むように楕円形に席が並んでいます。
祭壇中央にあるのは、彫刻家カイン・タッパー (Kain Tapper)の作品「カルバリーロック」 カルバリーは、キリストが磔刑にされたとされるエルサレム郊外の丘のことで、ゴルゴタと同じ意味だそうです。
ちなみに織物はドーラ・ユング (Dora Jung)のデザイン。ドーラは、マリメッコと並ぶファブリックメーカーだったタンペラ社のテキスタイル・デザイナーでした。タンペラ社は80年代に廃業しましたが、ドーラのシンプルで上品な織物は、ヴィンテージクロスとして人気があり、私も大好きです。
直線・曲線・・・ たくさんの線がシンフォニックに響きあって面白い。
二つのアーチが合わさった天井。
2階席にあがる階段の石は、地元産だそうです。
脇の窓から外光が差し込む明るい祭壇
何だかアンモナイトの模様みたい?に見えてきました。
クローク
教区ホール
教会も素晴らしかったですが、外の景色にも心を奪われました。真っ白な雪と木々や石の黒のコントラストが、こんなに美しいなんて!! 私が着いたときは、ちょうど葬儀が終わった人たちが墓所を去るところで、無言の黒い人影が美しいモノクロの風景の添景になっていました。冬に来られて良かった。
日本に帰ったら、純度の高いキリッとしたフィンランドの冬が恋しくなりそうです。
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