見出し画像

#11 アアルト大学内、オタニエミ礼拝堂(フィンランド)

ヘルシンキの西隣、エスポーにあるアアルト大学は、ヘルシンキ工科大学・ヘルシンキ経済大学・ヘルシンキ美術大学が、2010年に合併して出来ました。工科大学の卒業生でもある著名な建築家のアルヴァ・アアルトが、オタニエミにあるメインキャンパスの大部分を設計し、大学名もアアルトにちなんでつけられました。広いキャンパスには、魅力的な建物がいくつもあり、この記事では、アアルトからも影響を受けたという建築家、ヘイッキ&カイヤ・シレン(Heikki & Kaija Siren)夫妻が設計したチャペルをご紹介します。

google mapの赤いスポットがオタニエミ礼拝堂。学生村の林のなかにあります。

地図

前庭は丸いフェンスと赤レンガの塀で、周囲の森と仕切られ、間に鐘楼が立っています。

画像2

画像4

一見すると、普通の学校施設のような入り口。

画像4

チャペルの内部は、壁と床が赤レンガ、壁の上部と屋根の部分は木で出来ています。天井が後方に向かって高くなっていて、空間の広がりが感じられます。

画像14

パイプオルガン  偶然なのか、オルガンのパイプの太さや並び方まで、椅子や天井の柱の縦のリズムとよく合っています。 

画像5

コンペで選ばれたシレン夫妻の設計案には、「祭壇」というタイトルが付けられていました。祭壇の後ろは全面ガラス張りで、外に十字架が立っています。四季折々、時間の移り変わりとともに様々な表情を見せてくれる、まさに自然の祭壇画です。同時に、そこは人間がコントロールできない神聖な空間であることにも気づかせてくれます。

画像7

(安藤忠雄の「水の教会」は、オタニエミ礼拝堂をヒントにしたともいわれるそうです・・・)

自然光が差し込み、屋根を支える柱の影も映りこんで、レンガや木の風合いがひときわ美しい。(画像↓はパンフレットより)

画像13

家具や内装も、建物と調和しています。

画像8

大きな髙窓

画像9

画像11

赤レンガの壁は外壁から続いていて、外の自然を含むスペース全体がチャペルになっています。

<画像引用:http://hiddenarchitecture.net/otaniemi-chapel/>

画像14

キャンパスの敷地にある樹々。

画像11

礼拝堂は、学生たちが資金を集め、建設したそうです(1957年完成 のちにエスポー教区に譲渡) 自分の通う大学にチャペルが欲しいと奔走するなんて、なかなか無いですよね。多くの学生がここで静かに時を過ごし、結婚式を挙げたカップルもたくさんいたでしょう❤ 

近くの学生寮のベランダに、かわいい飾りが下がっていました。何となく十字架のような形にも見えます。 学生生活をエンジョイして、良い思い出をたくさん作ってね!と心の中でエールを送りました。

画像13