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切り絵えほん『ぼくの友だち』

『ぼくの友だち』
(“ぼく”部分は鏡になっています)
文;麻生文子 絵:はなむらここ

『ぼくの友だち』


ぽんたとミーは椅子の上。


ぽんたは手造りの犬です
ミーは手造りのネコです
なかよしです


マルメロとゴンタは皿の上の水の中
いつもいっしょ。

マルメロはコンブにまぎれてやってきた小石です
ゴンタは庭からやってきた石です


ケンタとミカちゃん


ケンタはプラスチックの犬です
いつもお留守番。

ミカちゃんはプラスチックの根付
携帯電話の御供です。


でも


夜になると
いっしょになれるの


みんな
なかよしです。


fin.

あとがき
〜ひとりでいて、ひとりでない世界〜

文子さんからこの物語を託された時、その行間に漂うメルヘンの正体を知りたくて彼女の家を訪ねました。
広々としたリビングに文子さんがひとり。
なのになぜでしょう。彼女は“ひとり”を感じさせないのです。
ぽんた、ミー、マルメロ、ゴンタ、ケンタにミカちゃん、
思い思いに葉を伸ばすニンジンの頭達。生き物にしか見えないサボテン、
そしてユリコさんとの会話をつなぐ電話機。
彼女に声をかけられたそれらは命を吹き込まれて実にイキイキとするのです。
文子さんしかいないはずのリビングは、実は友だちに溢れる憩いの場なのでした。
私はここで見たひとつのメルヘンを、
できるだけそのまま、えほんに閉じ込めたいと思いました。
それがこの1冊です。
愛とユーモアと遊び心に溢れる文子さん。
作品づくりを通じて、私は更に首ったけ!です。
素敵な創作の機会をありがとうございました。

最高の敬意と感謝を込めて
はなむらここ


atelier HANACO
うちゅうでたったひとつのえほん つくります

Smile!


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