サンジュの友。
「今年、サンジュなの。」
「!?」
“永遠の二十歳”的なジョークかと思ったら、30ではなく傘寿だった。
娘と私の、歳の離れたお友達。
「いつもはね、友人とここへ来て瓶ビールをふたりで1本空けるのよ。
彼女、75でお嫁に行ったの。素敵でしょう。」
寿司屋でちらし寿司をつつきながらはにかむ笑顔がとてもチャーミング。
彼女はアートをやる。アートと暮らしている。
いや、その生き様がもはやアートだ。
「心が通うときは一瞬ね。お友達になれて嬉しいわ。」
美術館の企画展で浮かない顔をしていた娘が、1階の市民美術展の会場で目を輝かせた。彼女の作品の前だった。それから娘と彼女は字のない文通(絵通?)友達。
(私も畏れながら、その和に食い込ませてもらった。)
常識の枠をはみ出したそこに、思わぬユートピアが開ける瞬間というのがある。
イイカンジにはみ出した人生を歩みたいなと思うのであった。
子育てのまにまに。
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偉大なるすべてのおかんに向けた、おかん手作りのフリーペーパー『おかん時間』に連載中のエッセイ「子育てのまにまに」春号掲載記事です。
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