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『‘大自然’画伯の。』

〈ヨコミチスト〉――横道を見つけると、つい曲がっちゃう種族。

ジブンもソノ系、とはしながらも――横道に逸れると、たいがい迷う…エセ‘ソノ系’。

先日、三条通を‘逸れ踏み込んでみた’横道で…――出くわしたのは《大将軍神社》。草木生い茂ること文字通り、街なかの鎮守の杜。

石組みの鳥居をくぐる。

かつて、罪人処刑場だった三条河原が目と鼻の先だからか、若干“陰”なる肌感に包まれたものの…ヤな‘陰’ではない。むしろ、しんみりした静寂圧は‘聖域のソレ’っぽい。

ところがどっこいショ、どうやら裏口から入り表口に抜けたらしく、駒札の由緒書きを読んだのは帰り際。

[…樹齢800年、銀杏の大木が生え…]
[…かつては、鵺の棲む〈鵺の森〉…]

…と呼ばれていたと知るや、‘陰’の肌感にもナットク納得…納豆、喰う――。

…ん!? まぁ、そんな話は置いといて。

‘陰’の帳で結界された境内に、ひときわ浮き立つ‘陽’たるモノに目が奪われた。

凛々しく猛る神馬像――その横に、リアリズムの植物画家が好みそうな‘輪郭キリリ’のデカい葉っぱ。

目一杯広げた手のひらほどの、んー…ミニ芭蕉扇!?

否、目が釘付け…しかも“ほへー!?”と声さえ漏れかけたのは、その鮮やかにして完璧な色遣い。

恐らくは秋を迎え、葉緑素が退く途上の――ミドリとキミドリ。2色の色合いを引き立てる、占有比率も実に絶妙!

あと少し、ミドリが多くても少なくても!
あと少し、キミドリが多くても少なくても!

――わが目を引くこたぁ、なかったろうさ。

そう、秋の茜の夕焼けの――涙出そうなほどに美しい〈黄昏の瞬間ピーク〉にも似た、配色の美。

これぞ、大自然の配色センス。

目を見張る色遣いを見たのは、過去にもある。

葉っぱのミドリに、実のムラサキ。

ミドリに…ムラサキ!?

思いもよらぬペアリング、退行色同士ってどーよ!? でもコレ、ムラサキ…意外に映えるな?――と唸りはするも、ジブンならまず選ばぬペアリング。

いやソレこそが、大自然の配色センス。

事件は、会議室で起こっているのではなく。
天気は、天気予報が決めているのでもない。

己が想像を越える、大胆繊細な色遣い――タブーなく堂々と配される色たるや、わが目にゃ…ハッとする斬新。

独善狭量になりがちの己が配色センスに、新たな選択肢を与えてもくれる。

観念に縛られやすいヒトの想像力を、ヤスヤスと越えてくる‘大自然’画伯――あるがままの色、形。

“…コノ葉っぱ、悔しいほどカンペキっす”

大将軍神社の静寂にポツネン佇み、〈‘大自然’画伯のあるがまま作品〉に対峙しつつ――そんな感嘆の念が、心奥から…。

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