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HACCPを上手く使うために⑬ ~手順4 フローダイアグラムを『活用』する~

こんにちは! あたたけ です。

今回はHACCPの話に戻ります。
ちょっと空いてしまいましたが、
『手順4 フローダイアグラム』の途中ですね。

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フローダイアグラムは便利&見栄えする書類。
 ただし、真の目的はハザード分析の支援。
 時間をかけるのであれば、フローダイアグラムではなくハザード分析。

というところまでまとめました。

今回は、フローダイアグラムの目的である、
ハザード分析をしやすくするため、今の製造工程を見える化する
ということを踏まえ、
作るときの注意点、作ったあとの使い方を考えていきます。

さて『ハザード分析をしやすくする』と、さらっとまとめていますが、
どのようにすればハザード分析しやすいのか?

まず、大前提として『工程が全て入っている』ですね。
『全ての原材料・工程を入れる、再生・再利用や廃棄も忘れずに』とかは
大抵の教科書に書いていることです。

再生・再利用とか廃棄は確かに管理が不充分になりがちですね。
以下がポイントでしょうか。

◇再生・再利用⇒ロット管理は大丈夫?(使用期限やトレースに関わる)
       ⇒放置されていない?(温度上昇からの菌数増に繋がる)
◇廃棄⇒隔離、識別、逆流防止とかはOK?(汚染源になる)

廃棄関係ではいろいろと苦労した記憶が、、、、、、
計量室のアレルゲンのコンタミ防止の集塵機で
『落ちてこない?戻ってこない?』とか言われ、悩んだことがあります。
野菜の根とか外葉の廃棄物からカエルが製品に飛び込んだことも。

『廃棄≒メインの流れから外す工程』と考えると、
『戻った時の影響を考える』『戻さない管理手段を考える』というのは
ハザード分析で検討が必要なことでしょう。


さて、『全ての原材料・工程』の次は『(現状の)管理手段』ですね。
ゼロから食品工場を立ち上げるのでもない限り、
『既に取り組んでいること』は必ずあります。
ですので、ハザード分析に基づき管理手段を考える際には、
全くのゼロからではなく、
考えられるハザードに対し、今の管理手段の効果はどの程度か
と考えることになります。
ですので、フローダイアグラムに現状の管理手段を
とりあえずでも書いておくのは大切なことです。

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さて、この辺りで『フローダイアグラムの活用法』でも。
文書を紙で管理している組織であれば、管理手段の記入ではなく
現状の手順書等を該当する工程のところに並べてみましょう
『手順書等がない工程』はありませんか?
工程によっては特に管理が必要ないものもありますが、
ハザード分析時に、改めて『管理が必要か』からキチンと考えるきっかけに
してみてはいかがでしょうか。
『暗黙の了解だけで現場が動いている』ということもあるかもですよ。

データで管理している組織では、、、、、、
『クリックして飛ぶようにリンクしておく』
ということも有効かもしれません。
(残念ながら、あたたけは紙大好きという時代に乗り遅れている派です)

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さて、別の活用例も。
代表的なハザードに『微生物の汚染』というものがあります。
これを防ぐための考え方に『ゾーニング(清潔度での区分)』があります。
図面にゾーニングを示している工場が多いですが、
ゾーニングとフローダイアグラムを組み合わせると
『交差汚染の起こりやすい工程』がよくわかります

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このような活用方法でわかることって
けっこう当たり前のことが多く、意味があるの?と思ったりもします。
ですが、『見える化≒誰にでもわかるように示す』ということを
踏まえると、実は『従業員教育』に便利なことがあります。

自分の作業の前後を理解すれば、
前工程から来るもの(インプット)でどんなミスが起こりやすいか、
後工程にわたすもの(アウトプット)をどうすれば作業効率が良くなるか、
等、前後の工程のフォローを意識できるかもしれません。

ゾーニングに工程を加えることで
『清潔エリアでは交差汚染に注意』というようなあいまいな認識でなく、
『この作業は特に注意!』と、より絞り込んで伝えることで
作業精度の向上に繋がるかもしれません。

ただし、このような活用は
『最低限、ハザード分析が終わってから(管理手段を見直してから)』が
本番です。
スタート時点では、『まずとりあえず作ってみる』でOKです。

ちょっと長くなったのでこの辺りに。

ということで、今日の一言です。
フローダイアグラムは便利な書類。
 うまく使えば従業員の食品安全への理解が深まる。
 ただし、真の目的はハザード分析の支援。
 時間をかけるのであれば、フローダイアグラムではなくハザード分析。

次回はフローダイアグラムの続きです。
ハザード分析をしやすくするために
『工程のつながりをわかりやすくする』という視点で考えてみましょう。

それでは、今回はこの辺りで!

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