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想定外は想定できる? ~人に任せることの大切さ~

こんにちは! あたたけ です。

引き続き『レジリエンスエンジニアリング』『Safety-Ⅱ』の話です。


Safety-Ⅰ(今までの安全管理の考え方)と
Safety-Ⅱ(これからの安全管理の考え方)を改めて一言で。

Safety-Ⅰ:ダメなことを想定し、ルール等でそれを防ぎ、安全を実現
Safety-Ⅱ:臨機応変に対応するため、柔軟性・強靭性をつけ、安全を実現

これを見てみると
『想定できることは今まで通りの管理(Safety-Ⅰ)』を行い、
想定しきれないことにも対応が必要なため、
『人(人の集合である組織)に柔軟性・強靭性をつける(Safety-Ⅱ)』、
という、二つの組み合わせが良いのかなと思いますね。

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Safety-Ⅱをここまで押していると、
それだけで良いのでは?と感じるかもしれませんが、
人に必要な力量とか、人への負担とかを考えると
さすがに厳しいでしょうね。

ただし、組織に柔軟性・強靭性がつくことで、
『ダメなことの想定』について範囲をより狭くする、
つまり、細かいルールを減らしていくことも出来るでしょう。

で、『ルールが少なく従業員に任せる』というスタンスが、
ルールが少なく覚えるのが楽⇒ルールを守る精度向上、
認められたという実感を得る⇒モチベーション向上、

と繋がっていき、良いスパイラルになると理想的です。

まぁ、なかなかそんなに理想的には進まないのが現実ですが、
『任せるのがコワい・メンドー』で話を止めるのではなく、
『任せるにはどうすれば良いか』を考えないと組織は成長しない
という当たり前のことを感じる次第です。

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ちなみに、同様のことは『論語』にも出てきます。

之を道くに政を以てし、之を斉うるに刑を以てすれば、
民免れて恥なし。
之を道くに徳を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、
恥ありて且つ格し。(為政第二/19)

ざっくりとした説明ですが、
『いくら法律&刑罰で人を治めようとしても抜け道ばかり考える、
 (抜け道⇒法律⇒抜け道・・・の悪循環に陥る)
 法より徳、罰より礼に訴えると、人はキチンとする!』
という感じでしょうか。

科学技術が進歩しても人の本質は昔から変わってないってことですね。
なので、古典から学べるわけです!

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さて、ここで考えさせられるのが、『フードディフェンス』です。
一時期、食品安全界隈でフードディフェンスが大きなテーマでしたが、
あまりうまくいっていないという印象がありました。

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その理由が
『想定外のこと(Safety-Ⅱで対応すべきこと)を
 従来通りの考え方(Safety-Ⅰ)に基づき、事前に想定しようとする』

という大いなる矛盾にあったのかなぁと思います。

『想定外』を頑張って想定し対策を考えたとしても、
悪意を持って何かをする人は、
その対策を踏まえた上で、対策を回避して何かをしますからね。

で、フードディフェンスでの取り組みに対し妥当性確認が出来ない、
何をやったら効果があるのかわからない、となり、
なんとなく周りがやっていることをなんとなくマネして、
形だけのフードディフェンスになったというわけですね。
(意味のない監視カメラとかですね)

『想定外の時に比較的正しい判断が出来るために、どんな準備するか』
と考え、従業員の知識&意識向上に取り組んだ会社は
うまくいったんじゃないかなと思います。
(取引先の頭の固い品管担当者への説明には苦労したかもしれませんが)

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フードディフェンス含む食品安全で一番大事なのは、
やっぱり『人』なんでしょうね。

それでは、今回はこの辺りで!

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