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HACCPを上手く使うために⑦ ~手順1 HACCPチームの立ち位置~

こんにちは! あたたけ です。

引き続きHACCPの話です。

ここまで、HACCPの中身ではなく、
HACCPに取り組むにあたって理解して欲しいことをまとめてきました。
要点は以下の2つになります。

・HACCPは『する』のではなく『使う』もの(HACCP=手段、≠目的)。
 現場で使える計画を立てないと意味がない。
・HACCPはPDCA。速く、確実に回すことを考える。

今回からは『HACCPの7原則12手順』を順に考えていきます。

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ということで、まずは『手順1 HACCPチームの編成』です。

教科書的には『工場の全てがわかるような編成』でメンバーを選びます。
具体的には、各部門長の方が集められていることが多いです。
この場合に問題となるのは、
部門の長がその部門のことを一番わかっているのか? という話です。

※権限を持つ人が実務を理解しているのか、というのは
 HACCPとは関係なく、組織として大きな問題ですが、よくあることです。
 人事異動で全く経験のない人が責任者になるとか。。。。。。
 話が逸れそうなので深くツッコミませんが、
 『相手を尊重する意思』が大事な気がします。

HACCPチーム編成時点、つまり、HACCPの1歩目で、
『何となく役職でメンバーを選ぶ』と失敗する可能性大でしょうね。

これを防ぐためには『HACCPチームの役割』を考えることが大切です。
一言であらわすと『PDCAを回す』でしょう。

スライド2

で、計画を作成する(Pを行う)ためには、
食中毒菌などの危害要因という『食の安全に関する知識』だけでなく
製造の流れや機械の特徴という『製造に関する知識』も必要なので
『工場の全てがわかるような編成』と言われるわけです。

でも、Pを決めただけではPDCAサイクルは回りません
例えば、Dを確実に行う、つまり、現場がPに従い作業するには
『教育』が必要ですが、教育は『する』だけでは意味がありません。
『相手に理解させる』ためには『教える能力』が大切になります。
その他にも、検証を効果的に行うための『分析能力』や
決めたことを伝えるための『コミュニケーション能力』、
文書をわかりやすく作るための『表現力』、
さらには、文書をパソコンで作るのであれば『パソコンの技術』
などなど、単純に知識だけでなく、いろんな能力が求められます。

スライド3

そう考えると、HACCPチームとしては
チームで決めたことを各部に持ち帰って取り組むため
部門に対する権限を持つ人(部門長)を選定するとしても、
『チームだけで全てを行う』のではなく、
『個々の課題にあわせ必要な能力を持つ人も巻き込んで行う』と考え
『核となるHACCPチーム、それを支援する専門部隊』というように
組織全体で役割分担する
のが良いのかな?と思います。
それが、言葉だけではない『HACCPは全員参加』に繋がると思います。


さて、『全員参加』を考えた際、規模が大きな組織になると、
『経営層』が最後の壁になることが良くあります。
経営層が現場のことを理解し、運用に入ることがベストですが、
規模が大きくなればなるほど難しいですからね。

このような場合の経営層の役割は、端的に言えば、
運用はHACCPチームを中心に現場に任せる。
 だから、そのために必要な資源(ヒト・モノ・カネ)を出す!

となります。ついでに、
『何かあったら責任をとる』という姿勢があれば完ぺきでしょうか。

経営層を巻き込むための方法として、
HACCPチーム(のリーダー)の交渉力に任せるというのも一つですが
なかなか難しいでしょう。
ISOマネジメントシステムでの『5.リーダーシップ』は
この『経営層を巻き込む』を強制的に行うことが狙いなのかなと思います。

なので、手順0として『トップダウンからのスタート』等を
説明している研修もあります(あたたけもパクることがありますが)。

ただ、経営層の名前だけ入れても実践には繋がらないですので
やっぱり、前回の記事で触れた、安全の費用対効果を考えることから始め、
『消極的(否定的)関与⇒妥協⇒積極的関与』と
誘導していかないとダメなのかなと思います。

スライド4

ということで、今日の一言です。
HACCPチームは中心なだけで、全てではない。
 得意な人の力を借りる。それが全員参加!

それでは、今回はこの辺りで!

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