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HACCPを上手く使うために⑤ ~続・7原則12手順を眺める~

こんにちは! あたたけ です。

引き続きHACCPの話です。
前回は『HACCPはPDCAサイクル』ということを
7原則12手順全体から見ていきました。

で、『PDCAサイクルをうまく使う』という視点で考えると、
サイクルを『速く』『確実に』回すということが大切です。

特に『速さ』はPDCAサイクルの欠点として
いろいろなところで挙げられている気がします。

なぜ、PDCAサイクルが速く回らないのか?
原因は色々とありますが、あたたけ的には次の二つが大きいと思います。

①プランにこだわりすぎる
②PDCAサイクルを1つだけで考えている


①プランにこだわりすぎる プランは完ぺきじゃないとダメなのか?

最初にプランを立てる時点(P)で、
『改善(A)が今後、いっさい必要ないようにしたい』と考え、
いつまでたってもプランが出来ず、PDCAサイクルが始まらないという
組織?人?をよく見かけます。

完ぺき主義、というよりも、ダメ出しされるのを極端に恐れる気質の方が
ハマりがちな例ですね。
特に、食品関連企業の品質管理・食品安全担当者には、
このような気質の方が多い気がします。
(もしかしたら、日本人全体で多いのかもしれませんね。)

さらに、HACCPに関して言えば、
『D(目的達成のために実際に行うこと)だけでなく、
 C・Aまでが計画(P)の対象に入っている』ため、
プランを立てるのが少しややこしいという問題もあります。
前回触れたように『確実に回す』という視点では有効なことですが、
『速く回す』という視点ではハードルを高くしている気がします。

じゃあ、どうすれば良いのか?

単純に『試しにやってみる』が一番効果的です。
プランをいくら考えたところで、結局は『机上の空論』です。
実際に使ってみて気づくことがあるのは当然です。

だから、『食品事故を防ぐ』という点で妥当性確認ができたら
すぐにやってみるのが一番です。
試しにやってみれば、『運用がムリなく出来るか』という点での妥当性は
現場から意見が上がってきます。
それにあわせてプランの改善(A)をすれば良いだけです。
※エラソーに言っていますが、あたたけも、つい先日、
 実施後1週間でプランの修正をしたばかりです。

さらに、妥当性確認についても、『食品事故を防ぐ』という点では
事故が多発している工場でもない限り、
現状の取り組みで『それなりの妥当性がある』ということです。
大抵の組織は現状のルールを元にプランを立てるはずですので、
何かしらの認証をとる(≒第三者に説明する)ということがなければ
考えすぎずに始めるのが良いと思います。

スライド1

スライド2

ということで、今日の一言①です。
HACCPプランは考えすぎない。
 計画(P)&実施(D)は躊躇しないで速やかに。


②PDCAサイクルを1つだけで考えている 検証は年1回だけ?

①ではPDの速さを考えました。
じゃあ、次はCA、つまり、
Dの結果の評価(C)&問題があったときの対応(A)の速さですね。

HACCPでは原則6で検証計画自体は立てるのですが、
問題となるのは、『頻度』です。

経営計画や人事評価にあわせ『年1~2回+随時』としていることが
多い気がしますが、『随時』を本当に随時出来ているかが問題です。

随時というのが形だけになっている場合、
イマイチな計画であっても半年~1年はそのまま動くことになります。
で、現場で形骸化していくわけです。
(この辺りへの不安も、先述のPに時間をかけることの原因でしょうね)

ルールがコロコロ変わると現場が混乱するというのは事実ですが、
現場の意見を取り入れての改善は積極的にすれば良いのかなと思います。
現場にとっても、PDCAサイクルを回す側にとっても。

で、そのためには、よく言われていることですが、
小さいPDCAサイクル』を考えるのが良いと思います。

スライド3

一番大きなPDCAサイクルの目的が『食品事故防止』だとして、
『実行(D)の精度を上げること』が一つ小さいPDCAの目的となります。
なので、事故防止に関しての検証は年1回だとしても、
『Dの精度』の検証は頻度をあげて改善速度を上げれば良いのです。
例えば、月1回は帳票確認時に改善の有無を判断するとか、
開始時点では試験運用として数日(1日~1週間)で見直すとか。

極端なことを言えば、実施状況の確認(C)はけっこうな頻度で、
それこそ毎日行っていることが多いはずです。
そこでの『気づき』を1年待たずに改善(A)すれば良いんですよね。

ちなみに、この辺りの細かい改善をうまく進めるには、
『権限をどこに持たせるか』というのが大切です。
『なんでもかんでも品管が決めないとダメ』という考えでは厳しいですね。

『手段の目的化』はダメなことですが、
最終的な目的を理解した上で、手段の達成を中間目標にするのは
改善速度を上げるのにとても有効だと思います。

ということで、今日の一言②です。
検証は定期的なものよりも、都度の検証が大切。
 気づいたときに速やかに改善していく。
 定期的な検証を待たない、過信しない。

それでは、今回はこの辺りで!

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