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いま、オフィスを移転拡大する理由

こんにちは、atama plus代表の稲田です。

コロナ禍を受けて、オフィスという「場」について様々な考え方が生まれています。オフィスを解約してフルリモート勤務にしたり、ハイブリッドな働き方を模索したり。各企業・個人が試行錯誤をしているのではないでしょうか。

そんな中、本日atama plusは、住友不動産麻布十番ビルにオフィスを移転しました。4年8ヶ月前に私の自宅の一室で創業して以来、6代目のオフィスです。

本稿では、この度の移転に関する背景や意図をお伝えしながら、改めてオフィスという「場」の価値について考えてみたいと思います。

集団の一体感をつくる「場」の役割

atama plusでは創業以来現在に至るまでずっと、カルチャー作りに投資し続けてきました。私たちが目指すカルチャーは、「全員がMission実現に向かって一丸となっている」状態です。

そんなカルチャーであり続けるために、重要なことの一つが、風通しのよいコミュニケーション。しかし、組織が大きくなり、様々なバックグラウンドを持つメンバーが増えるにつれ、全員で意識しなければチーム間の障壁や対立が生まれてしまう可能性があります。

そうした状態を避けるために、創業以来、できる限り同じ空間で共に働き、チーム内外のコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことを大事にしてきました。

4代目オフィス(人形町・さくら堀留ビル)での全社ミーティング風景、撮影=2019年

少しでも会話して人となりを知っているから、仕事上の相談がしやすく、互いに信頼しあい任せられる。プロダクトについて、開発やビジネスなど様々な視点で意見を交わすから、新しいアイディアが生まれる――日々のコミュニケーションを通じて、他者へのイマジネーションを豊かにすること。それによって集団の一体感が生まれ、Mission実現を加速させると信じています。

「リアルな空間の共有」があたり前でなくなったコロナ禍の試行錯誤

そうした価値観を大切にする私たちにとって、2020年2月の新型コロナウイルス感染拡大は衝撃的でした。(奇しくも、5代目のオフィスに移転するタイミングでのできごとでした。)

リアルな空間を共有することがあたり前でなくなったコロナ禍において、いかにカルチャーを磨き続けるか。非常に難しい課題でしたが、感染リスク回避とのバランスを取りながら、「全員がMission実現に一丸となって向かう」カルチャーを維持するために、皆で試行錯誤を続けてきましたので、その過程を振り返ってみます。

2020年3月〜2020年6月:フルリモート体制へ。
感染が大きく広がった2020年3月から6月までは、フルリモート勤務としていました。

感染急拡大により、フルリモートの方針を伝えたSlack

月次・週次の全社会議も、急遽全てオンライン化。気軽に質問したり活発に議論ができるよう、Slack(チャット形式の社内コミュニケーションツール)内に、会議中に質問・議論するための新しいチャンネルを立ち上げました。

また、チーム外とのコミュニケーション量が減ってしまうため、毎日ふらっと集まって近況を話す「アタマ休み」を設けたり、音声でつながるコミュニケーションツール「Discord」を使って、仲間に声をかけやすくしたりと各自が自発的に工夫していました。

さらに、フルリモート下でも毎月数名が入社している状況でしたので、新しく入社したメンバーと既存メンバーで1on2をする「スタートーク」や、ラジオ形式で入社メンバーへのインタビューを行う「love fun channel」といった取り組みも生まれました。

ふらっとオンラインで集まって雑談をする「アタマ休み」の様子、撮影=2020年4月

このような試行錯誤やこれまでの信頼関係の蓄積もあったため、フルリモートでもなんとかカルチャーを維持できていたと思います。ですが、新しいメンバーの受け入れや、他チームとのコミュニケーションにおいては不安の声もあがっていました。

2020年7月〜2021年12月現在:オフィス勤務とリモート勤務
2020年7月からは、緊急事態宣言の解除・再発令など世の中の情勢をふまえて、オフィス勤務とリモート勤務を組み合わせた働き方に対応してきました。アクリル板・消毒液の設置など感染対策を徹底した上で、チーム内外のメンバーとのコミュニケーションを目的に、週数日はオフィス勤務、それ以外は各自が出社かリモートかを選べるようにしています。

左=社内の各所にアクリル板やアルコール消毒を設置、撮影=2020年6月
右=感染対策を実施しながらプロダクトを触る「atama juku」、撮影=2020年9月

出社しているメンバーで15時頃に集まってフルーツを食べながら気軽に話す「フルーツアワー」やチームをまたいで3~4人で業務について会話する「シャッフルトーク」など。チーム内外のコミュニケーション機会を増やすための施策に力を入れています。

新入社員向けのオンボーディングは、できる限り対面で。少しでも早くatama plusに馴染み、活躍するためにも、できる限り様々なチームのメンバーと会い、信頼関係を築くことが重要だと考えているからです。

新入社員向けのオンボーディングの様子、撮影=2020年11月

一方で、オンラインならではの良さを感じる場面もしばしば。例えば、週次・月次の全社会議など参加人数が多いミーティングは、全てオンラインで実施するようになりました。参加人数の規模など物理的な制約がなかったり、気軽に発言しやすいコミュニケーションツールを併用できたりといった良さがあるからです。

変化に強い組織があったからこそ生まれたプロダクト・サービス
コロナ禍の働き方を模索する傍らで、事業でも様々な進展がありました。特に、築き上げてきたカルチャーが発揮されたと感じるのは、2020年2月末にリリースしたatama+ web版の事例です。

それまで塾の教室内のタブレット上での利用を前提に作っていたatama+アプリを、生徒の自宅のパソコンやスマートフォンのブラウザから利用できるようにすることで、緊急事態宣言中に塾教室が閉鎖している間の生徒の学び、塾の事業の継続をサポートしました。

きっかけは、あるメンバーの投稿でした。2月半ば、新型コロナウィルスが広がりつつある状況をふまえ、生徒の自宅でも使えるatama+をつくれると良いのではというアイディアがSlack上で挙がったのです。

そこから緊急検討を重ね、web版の開発を決定。全社会議で方針を伝えた後、プロダクトチーム総動員で開発を進め、アイディアが挙がってから1週間でatama+ web版をリリースすることができました。

同時に、プロダクトチーム以外にも、ビジネスチームが「遠隔学習」の運営方法を設計して塾での研修会を実施したり、(4代目オフィスから5代目オフィスへの移転日をまたいだ開発だったので)コーポレートチームが皆が開発に専念できる臨時の環境を整えたり。全てのチームが自律して迅速に意思決定をしながら緊急事態に立ち向かいました。

結果として、2020年4月末時点で1300の塾教室でatama+ web版が使われ、それまでの10倍の生徒に学びを届けることができました。

5代目オフィス(不動前・目黒テクノビル)への移転直後に開発ミーティングを行う様子
撮影=2020年3月

さらに、2020年〜2021年はatama+の提供科目の拡大や機能改善が進み、塾での導入も一気に広がりました。フルリモート体制時に駿台と企画し、わずか4ヶ月で開発したオンライン模試や、立命館との新しい入試企画など、新たなチャレンジも着実に形になりつつあります。

急激な外部環境の変化への対応は、トップダウンでの指示では実現できなかったと思います。一人ひとりがMission実現に向かって自律して動くというカルチャーを作り続けてきたからこそ、atama plusは変化に強い組織であると自負しています。

自然と人が集まる場所「atama park」に込めた想い


指示された仕事をするために来る場所ではなく、そこに集う仲間と環境に魅せられ自然と人が集まる場所にしたい。そんな想いを込めてオフィスのコンセプトを「PARK」にしました。

「〇〇禁止」「〜してはいけません。」といったルールが、各所に掲示されている「公園」ではありません。自由に演奏したり、運動したり、読書したりするような、自律した多様な人を受け入れる「PARK」です。多様な人が集まって、ワクワクするからカルチャーが磨かれていく。それを面白がって、また新しい人が集まる。そんな場所にしていきます。

みんなが自由に過ごすオープンスペース「∫(インテグラル)」、撮影=2021年12月

atama parkの各所には、偶発的なコミュニケーションを産むための工夫が各所に散りばめられています。

例えば、下駄箱。効率性だけを追い求めると、靴を脱ぐという行為は、一見無駄にも見えます。ですが、atama parkを訪れるときに必ず通るこの場所が、他チームのメンバーと顔をあわせるきっかけになったり、同じ「靴を脱ぐ」という行為による一体感を生むことを期待しています。

下駄箱、撮影=2021年12月

自由にお茶を飲んだり、お菓子を食べたりできるパントリーは、あえて執務エリアから離れた位置に。効率さの観点では、執務エリアの近くにあったほうが便利かもしれません。ですが、ここでも自分の座席から離れてパントリーに行き、偶発的な会話を生むきっかけをつくりたいという意図で設計しました。

パントリー、撮影=2021年12月

不便が便利。あえて非効率をつくる工夫でコミュニケーションを促し、「全員でワンチーム」の一体感をつくっています。

お客様との会話や採用面接を行うweb会議専用スペースもあります。日々Mission/Valuesを意識できるよう、壁や会議室の扉、文房具など至るところに言葉を散りばめたり、生徒を意識するためのペルソナのフィギアや看板を設置するといった工夫は、前のオフィスから続けています。

いまオフィスを移転拡大する理由

一時フルリモートでも対応してきたように、オンラインでも仕事はできます。短期間で見た、個人の生産性はリモートワークのほうが高いこともあるかもしれません。

他方、私たちが目指す「全員がMission実現に一丸となって向かう」カルチャーを磨き続けるためには、対面でのコミュニケーションも欠かせません。

事業の拡大に伴って、社員数は170名を超えました。仲間が一人増え、事業やプロダクトが進化するたびに、カルチャーは変わり続けます。さらなる成長を目指す中で、これまで以上に全員でカルチャーを磨き続けることが大切になるでしょう。そのための基盤として、コミュニケーションを促進する「場」の価値は、はかりしれないと考えています。

新しいatama  parkにて、仲間との信頼関係をより一層強固なものにしながら、全員でMission実現に向かってまいります。

テクノロジーを活用して「基礎学力」の習得にかかる時間を短くし、「社会でいきる力」を養う時間を増やす、そんなatama plusの取り組みをこれからも見守っていただければ幸いです。

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