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勝手につぶやき<光る君へ(第19回)&日記>

★出世1(道長)

小学校のとき、急病になった担任の代わりに校長先生が授業に来たことがある。
そのとき、「僕はね、本当は校長にはなりたくなかったのよ」と言っていた。
だってね、あなたがた子供たちと一緒に勉強したり運動したりしたいから先生になったのに、校長になったらそういう時間がなくなっちゃうでしょ。それが嫌だったの。

尾木ママみたいに柔らかい口調で話す人だった。
「だから、今日はみんなと話せて嬉しい。好きなことができるのが幸せ。お給料の額や、校長とか社長さんとか、そういうのじゃない幸せもあるの。」
授業の中身はすっかり忘れたが、そう言っていたのは憶えている。

陣定にも出られるような、従来の関白とは異なる道を歩みたいという道長に、それを思い出した。
ドラマとは全然関係ない話だが、地位にあぐらをかいて現場の声に耳を傾けない政治家や官僚ばかりの昨今だからか。


★出世2(公任)

除目にあたって、「私はいまのままでよい。父が関白であったころは俺も関白にならねばと思ったがいまはどうでもいい。」という公任。
漢詩や和歌を究め、読書や管弦を楽しみ、そうやって生きていけるなら、そうありたいよねぇ。
でもそれっていまがそうできる環境だからだよね、と僻む気持ちもある。
文化芸術にあふれた日常の中で、字の上手な行成をスパイに使う提案をするなど参謀っぽい妙味もあり、羨ましい暮らしぶり。


★出世3(俊賢)

今日出番のなかった明子は、恨んでいた兼家がいなくなり、道長を慕うようになって穏やかな人生になったふう。
兄の源俊賢は、明子入内の折には、妹の添え物のような雰囲気に描かれていたが、父の左遷から学んだのか、情勢を見ることに長けた人という感じになっている。
伊周兄弟が参内しなければ「第二の手を打ちます」と言い切ったシーンもあり、なかなか侮れない人ではないか。
どちらにもそれなりにいい顔をして、強いインパクトのないことが武器のような、こういう人がいわゆる「出世」をして、安定した地位を築くのかもしれない。

俊賢が伊周兄弟の参内説得の折、帝の考えとして「右大臣の参内がなければ、陣定で権力が偏ってしまう」という理由を述べたが、これは非常にもっともらしいし、正論だと思う。
いつの世も全会一致は不健全。

★出世4(まひろ)

科挙という制度のインパクトが大きいまひろ。
まひろが帝に直接政治的な考えを述べることなどありえないと思うのだが、ドラマだからよしとする。
ここから「身分の高低にかかわらず賢者を登用」という考えが、道長に伝わっていく展開は、流れとして面白い。
大河ドラマはとかく「史実としてありえん」的な非難を招くけれど(私も前作のときは「ありえん!」派だったが)なぜだか今回の大河は許せてしまう。
合戦場面がないぶん、心理的な駆け引きとわずかな史実をどうリンクさせるかが興味深い。


★出世5(為時)

父の為時がついに従五位下。
国司への道が開けたわけだが、道長のまひろへの恋心というよりも、優秀な者を登用という「為政者としてはあたりまえのこと」を行ったのではないかと思う。
女院の人事の要請を突っぱねたことも含めて、いままでの関白とは「異なる道を歩みとうございます」という冒頭のシーンにつながっている感。

父の叙位を知り、亡き母が「殿が官職につけたらお祝いに弾く」と言っていた琵琶を奏でるまひろ。
弦が切れて長徳の変へ。


★いやがらせ

廊下に画びょう?は、日常的なものらしい。
廊下にウンコが撒かれたと、桐壺のお話にもあったし、意地悪に見境がない。
昔、「赤い靴」というドラマがあって、バレリーナを目指す少女がライバルにシューズの中に画びょうを入れられるシーンがあったと思い出した。

清少納言の慣れた感じと対比させて、まひろの着付け具合や仕草が不慣れに見えるのがいい。


★長徳の変

伊周兄弟は、三の君と四の君が姉妹で屋敷にいることを知らなかったのか?
妹のもとに来ている男だという想像がないままに行動に出るところが幼い。
もし矢を射るにしても、相手が誰かを確かめてからじゃないだろうか。
嫉妬する兄もみっともないし、遊び半分で射る短絡的な弟も愚かしい。
ドラマは、こういう奴らだから左遷されても仕方ないよねという流れに。

花山院、久しぶりの登場でワクワク。


★その他

●「こまろ」は長寿猫なのか?
それとも、名前が受け継がれただけの別の猫なのか。
どうでもいいけど。

●この時点で、まだまひろが彰子の女房になるとはわかっていないのだが、定子はなんとなくまひろを良く思っていない雰囲気。
自分ひとすじだと思っていた清少納言に「友」がいたことが意外だったのか。
あるいは。
「御子を産め」にうんざりしつつ、それが女の務めとする価値観で生きてきた中で、男性のように政治云々を述べるまひろへの嫉妬があったのではないか。
自分には地位も身分もあるが、この女は(身分は低いが)自分にないものを持っている、というような。
「言葉が過ぎる」とのたしなめは、帝へというより自分に対してのような気もする。

●行成に促されて日記を書き始めた道長だが、開きっぱなしにしておくのはどうかと思うぞ。
漢字を読める者はいないとみくびっているのかもしれないが。
私は、夫の日記やケータイは見ないタイプだが、見えないようにしてほしいと思う。
世の「隠し事のない夫婦」とか、胡散臭い。



昨夜の疲れがようやく癒えてきた。
好きなドラマはカンフル剤のようなもの。
「アンチヒーロー」はあとで録画を見る。
「燕は戻ってこない」は見たが、どう書いていいものか考えあぐねている。

明日は各地で暴風雨になるらしい。
どうかどこにも被害のなきよう。
ベランダの物干し竿を下ろして寝る。

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