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【エッセイ】幸せを願う事

誰かの幸せを願うということはとても難しい。
それが大切に思っている人であればあるほどならなおさら難しい。
ちょっと遠くから「幸せになってくれたらいいな」くらいの人だったらそこまで難しくはないのかもしれない。
でもそれが最愛の人となると途端に難しくなる。

僕は自分自身にまったく自信を持っていない。
うつ病で実家暮らしで定職なしの35歳男。
おまけに最近は肥満化が進み、白髪の本数も増えてきた。
収入は自分でやれる範囲で手にしている、確定申告で全額還付されるようなわずかなお金だけ。
どの角度から見ても堂々たる不良物件なのに、自身の持ちようがない。

そんな僕であるがなぜか彼女がいる。
年下だが一生懸命頑張っている、とても素晴らしい女性だ。
そしてうつ病であることを知りつつも、そんな僕を受け入れて支えてくれる。
そんな彼女のことを愛しく思わないはずがない。
後にも先にも彼女以上の人は現れないと僕は思っている。
でも「本当に彼女を幸せにできるのか」という問いが常に頭の中にあり「お前にはできない」と囁く悪魔がいる。

できることなら僕が幸せにしたい。
幸せになった時、その隣に僕がいたい。
二人で幸せな家庭を築いていきたい。
でもそれが僕に可能なのかと問われると、一切の自信がなくなってしまう。

もし、病気じゃなくてちゃんと働いてたら自信があったのだろうかとも考えることがある。
でも彼女とは病気だったおかげで出会えたと言っても過言ではないため、その問い自体がナンセンスなのだが、やっぱり元気だったころと今の自分を比較してしまうことはやめられない。
そしてまた自信を失っていく。

誰かの幸せを願うということはとても難しい。
本気で好きだから「彼女の幸せを願うなら身を引いた方がいいんじゃないか」と囁く悪魔がいる。
いや、本当にそれは悪魔だろうか。
もしかしたら僕自身を客観視しているなけなしの良心なのではないだろうか。
でも本気で好きだから一緒にいたい。
「本気で好きなら幸せにする努力をし続けたらいい」と囁く天使がいる。
これを書きながらも相反する考えが頭の中をぐるぐるする。

ああいいや、これは僕の独りよがりな考えだ。
こんなとりとめのない僕だけど、近くにいてもいいですか?


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