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【エッセイ】もっと楽でいいんだよ

うつ病になり薬を飲み始めてからかなり太った。
明らかに体型が変わって、昔来ていた服が入らない。
それもそのはず。うつ病にかかって2週間で8キロ痩せたのだが、そこから3年近くかけて20キロ近く太ってしまった。
新たに入る服を買ってくることになるのだが、それがXLとなる。
体型を戻そうと食事を変えたり、生活習慣を変えたりと対策をしてみるが、どうもストイックに絞ることができない。

はてさて、ストイックにできないのは病気のせいか、あるいは薬のせいか、それとも生来の怠け癖のせいか。

そう。僕には怠け癖があり、どんなこともあまり続かない。
手を付けては辞め、放り出したものを拾っては捨て、また新しいことを始め。
そんな感じなので、何かを極めたという経験がない。
一番続いたのは小中高と続けたバスケ、大学社会人と続けた小説の執筆、趣味として続けている音声作品制作くらいなものである。
どれも「極めた」とはいいがたい。

そのかわり、いろんなものを浅く手に付け、幸いなことに(?)比較的器用だったため、器用貧乏的にいろんなことがちょっとできる人間になった。
そのおかげで「すごい」やら「頭いいね」なんて言葉をかけてもらう機会もあったが、全て付け焼刃でハリボテに過ぎなかった。

それが僕の「コンプレックス」だということは、たぶん誰も知らないだろう。

話しは変わるが趣味で数百冊の小説や実用書を読んだり、数百作品の映画を見たり、数千冊の漫画を読んだことがある。
しかし最近はどれもできていない。
趣味すらこの心身は許してくれないというのが現状だ。
したいという気持ちがないわきえではないのだが、どうしても手が伸びず、手にしてもすぐに気力の息切れを起こして離れてしまう。

うつ病のせいで大好きなことが楽しめなくなったのはとても痛かった。
幸か不幸か時間はあるのに、何もできないのだ。
何をするわけでもない時間があると、どうしても良くないことを考え始める。
それがしんどくて寝逃げをする。
寝て少し元気になると今度は焦りがやってきて、「少しでも稼がないと」とできる範囲での仕事を始める。
疲れて横になると、また良くないことを考え始める。
本を読んだりする活力はない。
だからまた寝る。
趣味すらできないことさえ、「コンプレックス」となっていく。

ほとほと弱った僕は、新たにできる趣味にあたるものを探した。
そんな中、昔から好きでたまにやっていたゲーム(エーペックスレジェンズ)を、誰かと喋りながらであればできるということを発見した。
多分、パーティメンバーに判断の多くを任せて、何も考えずにプレーしているからできるのだと思う(同じゲームでもオーバーウォッチというゲームはすぐに疲れてしまう)。

ただ、ここでも「コンプレックス」はある。
僕は強くないのだが、強くなりたいという向上心もないのだ。
パーティメンバーはそれを許容してくれる人たちなのだが、どうしても腕前が戦績として表れてしまう。
よく遊ぶ人が自分より強いことが多く、結果、迷惑をかけてしまっているんじゃないかと思ってしまうのだ。

これを解決する方法は2種類しかない。

「強くなるためにストイックにプレーする」
あるいは
「気にしない」
の2種類だ。

今の僕は堂々と後者を選ぶ。
生来の怠け者だから。
でもそれでいいと思う。
何もかもを頑張ろうとしたら息が詰まってしまうから。

もっと楽でいいんだよ。

僕はこの言葉を自分に送る。
できれば過去の自分にも送ってあげたい。

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