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詩『十八歳にはよくある話』

自分の価値を試したくって
お尻がちょっと はみ出すくらいの
短いズボンで電車に乗った
あなたの駅まで運んでく
心臓が二倍速 特急を追い越してく
わたし あなたのせいで早死にするかもよ

扇風機が回る 六畳一間の部屋で
ぬるい風が ふたりの裸足をくすぐる
あなたはその足にグッと強く力を込めて
空っぽのわたしを 埋めようとするけど

「あなた色」に染まるだけなんて
全然足りない 満足できない
あなたが染まってきたものも
全部わたしにすり込んで
そしてわたしを閉じ込めて
二度と自由になんかしないで
この足かせが しあわせ


あなたの勝ちを確かめたくって
時間がちょっと はみ出すくらいの
長いスパンで発射に乗った
あなたの液まで運んでく
心臓が二倍速 呼吸を追い越してく
わたし あなたのせいで早死にするかもよ

飛んだ意識が回る 六畳一間の部屋で
ゆるい息が わたしのお腹をくすぐる
あなたはその腹にグッと強く想いを込めて
熱っぽいわたしを 褒めようとするけど

「あなた色」を残すだけなんて
ねえ腹汚い 腹に落ちない
あなたが残してきたものも
全部わたしにすり込んで
そしてわたしで閉じ込めて
二度と自由になんかしないで
この腹いせが しあわせ

(作成日:2024/8/9)

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