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【精神科で働く人が注意するべき】共依存とは。精神科職員/医療学生へ

私は精神科で勤務して6年目になります。精神科に入院や通院をしている患者さまは、教科書通りの症状が出ている方は一人もいないので、一人一人の特性を見て行く必要があります。

一人一人、その方の性格や育ってきた環境、症状、病期がどの時期にあるか等を適切に判断して対応をしなくてはいけません。一人一人個別の対応が必要とはいえ、正直、すごく難しいです。正解がいくつもあります。ですが、絶対にやってはいけないことは決まっています。

「接し方において絶対にやってはいけないこと」を知っておくことで、患者さまの治療を円滑に行うことができ、トラブルを避けることもできます。

残念ながら、医療の現場には少なからず問題のある対応をするスタッフがいて、患者さまとトラブルになっている現場も見てきました。「絶対にやってはいけないこと」を知っておくと、精神科で働く時にトラブルを避け自分の身を守ることができます。

作業療法士の学生さんは実習の参考にもなるかと思いますので、最後までご覧いただけると嬉しいです。

「絶対にやってはいけないこと」。これも挙げれば沢山あるのですが、今日は「共依存」についてお話していきたいと思います。

以前、精神科の患者さまへの言葉遣いは記事にしていますので、こちらも合わせてご覧いただければと思います。

共依存とは

まずは共依存の意味からみていきます。他人に依存するあまり自分自身を見失っている状態のことを共依存といいます。

例えば、自己犠牲してまで誰かのために行動したり、必死で他人からの評価を得ようとすることです。

もともとはアルコール依存症患者に悩む配偶者の状態を表す際に使われていました。

アルコール依存の、例えば夫を、妻が献身的に世話したり、夫に代わって家族を支えたりと、妻は自己犠牲してまで尽くしますが、夫はますます酒に溺れて負のループに陥いる。このような様子から「共依存」という言葉が生まれ、今ではより広い意味で使われるようになりました。

「あの人は私がいなきゃダメなのよ」

というセリフが出たら一発アウトですね。

他人のために一生懸命になれるのは素晴らしいことですが、自己犠牲を伴ってまで施す優しさは優しさではなく「甘やかし」です。



共依存になりやすい人の特徴

自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人は自分の価値を他人に見出すので、他人に尽くして、良い評価を得ようと必死になります。相手から自分が雑に扱われても、自己肯定感が低いのでそれに違和感を持たず、悪化してDV等に発展していく可能性もあります。


コミュニケーションが苦手
自分の意見が言えずに相手のペースに合わせてしまい、自分の意志を押し殺すクセがつきます。小さい時からそれに慣れると、誰かの指示なしでは動けないようになってしまいます。


幼少期の愛情不足
幼少期に愛情が満たされない思いを抱えていると、他人からの評価を過度に求めてしまいがちになります。人との距離感が分からず、恋人に過剰な愛情を要求したり、それが満たされないと怒りが爆発して、感情のコントロールを失って、相手を傷つけるようなセリフをぶつけてしまったり。


精神科では共依存が起こりやすい?

精神科に入院や通院をしてくる患者さまは共依存になりやすい人の特徴を持っている人が多いです。ですから、職員側がしっかりと線引きをしないと、油断をすると簡単に共依存関係が出来上がってしまいます。

全ての病院とは言いませんが、職員同士が本音で話せない、風通しの悪い職場だと、患者さまと職員の共依存が多いなと思います。

職員が共依存を招くような言動・行動をしても、それを仲間が指摘できないと、どんどん共依存関係が出来上がっていきます。職員も精神について勉強しているとは言え、人間なので人との距離感を間違うことがあります。

そんな時に職員同士で「ちょっと距離近いよ」とか「そういう時はこうしたほうが良いと思う」と注意ができれば良いのに・・・。と思います。

私が以前勤めていた病院のデイケアに、毎日特定のスタッフに電話をしてくる利用者の方(以下Aさん)がいました。デイケアが15時に終わるんですが、毎日17時にAさんは「職員の〇〇さんに代わって」と言って電話をしてきて、「今日の夕飯は何食べたら良い?」「明日は雨だから傘を持って行ったほうが良いよね?」「今日も薬飲んだほうが良いよね?」とその職員に聞いていました。

その職員も電話で他の業務が進まないので、半ば困った様子でありながらも、毎日丁寧に電話の返事をしていました。周りのスタッフも私も、Aさんに電話をする理由を聞いたり、一人でも生活ができるようにするにはどうしたら良いかと話し合ったりしていました。

ある日、Aさんから電話がかかって来ない日がありました。

職員間で「今日はAさんからの電話ありませんでしたね。」「今日は自分で行動を決めることができたんでしょうね」と話していると、こともあろうかいつも電話対応しているスタッフのほうから、Aさんに電話をしたのです。

電話の前、周りのスタッフは止めました。それでもその職員は止めず電話をすると、Aさんが元気な声で「今日は忙しかったから電話せんやった~」と言いました。

それから再び毎日、Aさんからの電話がかかってくるようになりました。忙しい日も、「職員さんが心配するけんさ~」と言うようになりました。

明らかに失敗だったと思います。

私たち精神科の職員が、患者さまの自立を妨げることがあっては絶対にいけません。Aさんにアプローチするだけではなく、その職員にも周りが話をするべきだったなぁと感じています。

こういうエピソードがいくつかあります。「あぁ、これは職員が自立の邪魔している・・・」と思う場面を見た時、何て言おうかいつも気を揉みます。

役職が付いていたり経験年数だったり、職員間にも序列があって、本音では話せない職場もあります。後輩から先輩にって、意見しにくいですよね。

だからそういう職場では、自分でフィードバックをして気をつけるしかありません。本音で話してお互いに研鑽し合える職場作りが理想ですけどね。もしもあなたの職場が、風通しの悪い職場なら、外部の人に意見を聞いてみると良いかもしれません。


患者さまとの関係で困った時

どんなに知識を積んでも、人間ですから、時には人との距離感を間違うことがあるかもしれません。精神科での日々は何が正解か分からなくて悩むこともあると思います。

そんな時は、すぐに他の職員に相談をしてください。「チーム医療」という言葉は患者さまの為だけにある言葉ではありません。私たち職員同士も支え合うのがチーム医療ですから、患者さまとの困りごとは皆で共有するようにして、一人で抱え込まないようにしてくださいね。もしも職場内が相談しにくい環境にあるなら、ぜひ、他の病院で働いている人や、他の職種に相談してみてください。

私もココナラでお悩み相談をしています。よく同業者の方からもご相談いただきます。私自身も精神的に参ってしまって、精神科を受診しようと思ったことがあるのですが、変に知り合いが多いもんだから受診しにくいなと思いました。「あの病院は同級生の○○がいる」「あの病院は学会でお会いした○○先生がいる・・・」知り合いのとこには行きたくないなと思っていました。

家にいながら、精神科で働く職員に気軽に相談したいという方に向けてサービスをご用意しています。電話相談とメールでの相談どちらもありますので、何か個別にご相談がある方はご連絡お待ちしています。


電話相談はこちら


まとめ

共依存になりやすい人の特徴は自己肯定感が低い・コミュニケーションが苦手・幼少期の愛情不足です。そして、精神科に入院や通院をしてくる患者さまはそういった特徴を持っている方が少なくありません。

職員側がしっかりと線引きをすることが必要です。もしも困ったら、すぐに周りに相談をしたり意見を求めたりしてみてください。


【活動紹介】

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病院内だけでなく、地域で作業療法を行っていくために、切り絵作家として独立したいと思っています。精神障がいや発達障がいのグレーゾーンの方を支援していきたいと思っています。この活動を応援してくださる方がいらっしゃいましたら、詳細をご覧いただけると嬉しいです。↓


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最後までご覧いただき、ありがとうございました!

記事を読んでくださりありがとうございました。辛い思いをしている人が少しでも楽になりますように。