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【ブラジルのスラム】じゃまなら消される日常はここだけじゃない

私がブラジルで住んでいるサルヴァドールの区域では、ギャングの2大勢力の抗争が近年頻発しており、流れ弾による犠牲者の話はよく聞いていた。そして先月はなぜか犬たちが少なくとも1週間で10匹射殺されたというニュースが。

「動物さえも許さない:縄張り争いでCV(ギャング団の名前:コマンド・ヴェルメーリョ)が1週間で10匹の犬を殺害」
解説:CV(コマンド・ヴェルメーリョ)はリオから北上してきたギャング団であり、サルヴァドール地元のBDM(ボンジ・ド・マルーコ)と抗争を繰り返している。ちなみにサルヴァドールのキロンボ周辺の壁にはよくBDMとスプレー缶でなぐり書きがしてあるため、彼らの縄張りらしい…

2024/05/27のバイーア州地方新聞Correio 24 horas

居住地区の真ん中に、大西洋熱帯雨林が原生林のまま残っているバートロミュー公園という広大な地域がある。ちょっとした滝もある美麗な自然保護区域にも関わらず住民は散歩にも行けない。

なぜなら、その公園はギャングの恰好の隠れ場所となっており、追い剥ぎやなんやに逢いたくなかったら絶対行くなと皆口をそろえて言う地域なのだ。

犬たちは2大ギャングの縄張り争いの境界線となっているこの公園のそばで、ちょっとした物音にも気づいて吠える。そのためドラッグ密売などをめぐる抗争の妨げになるから殺されたらしい。

2023年10月7日に始まった今回の人民族浄化とも言えるパレスチナでの殺戮は明日で9ヶ月目に入る。10匹の犬たちとは全くもって比べものにならないくらいの、想像を絶するくらいの人数の子どもたちを含む大勢の人々が殺められる日々がまだ続いている。

パレスチナだけではない。世界各地で縄張り争いをしているのはたいていの場合お上の方々で、そこに生きる人々はとんだとばっちりを受け、無慈悲に殺されていく。サルヴァドールでドラッグ密売の縄張り争いをするギャングたちとなんら変わりはないのではないだろうか。

(2024/06/06@金沢)

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