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コロナ禍のタイから

タイに来てから今年の3月まで、現地採用としてタイで2年間働いていた。
諸事情で退職したのが3月上旬。
退職を決めたときにはまさか世界がこんなことになるとは当然思っておらず、仕事と自由な時間を図らずも同時に失ってしまった。

タイに来てから駐妻っぽいこと、たとえば平日に習い事に行くとかアフタヌーンティーに行くとか、そんなことは当然したことなくて、今も全くしたいと思っていないけど、自由な時間がたくさんできたら一人でバングラにボランティアに行こうとか(大学の時に1週間ボランティアしたNPOにもう一度行くのが夢だった)、1か月くらいマルタかセブに留学しちゃおうかなとか、もっと頻繁に日本に帰って親孝行しようとか、やりたいことが本当にたくさんあった。

それが、コロナのせいで全て夢のままで終わってしまった。
試行錯誤して生きているけれど、本音はめちゃくちゃ辛い。
辛いと言ったところで状況は変わらないから、今できる新しいことに挑戦したり、朝から晩までNetflixを観るという堕落した生活を送ってみたり、そうしてなんとかタイで今も生きている。

アメリカに住むcoconちゃんとの駐妻交換日記も新しく始めたことの一つ。
交換日記3巡目は、そんな世界一憎たらしいコロナについて、タイの状況をまとめてみます。

タイのこれまで

中国武漢でコロナウイルスが蔓延し始めてからのタイの対応は意外とめちゃくちゃ早かった。

1/3には空港で中国からの乗客の検査を開始。

1/13に、中国以外の国で初めて感染者を確認。(武漢から入国した中国人)
そこからマスクをするタイ人が増え、なんとなく街に人が減ってきたような気がした。とはいえ感染者は微増だったので、「なんとなく怖い」くらいの認識だったと思う。私に関して言うと、全く気にしてなかった。

3/1、タイで初めてコロナに感染後亡くなった方が出る。
そして3/6。バンコクのムエタイスタジアム150人以上が感染するクラスター感染が発生。

この時点から様子が変わった。

3/18には学校、ジム、スポーツスタジアム、映画館、マッサージ店、美容院などが閉鎖。

3/22には全ての飲食店でのイートイン禁止措置開始。
日本のような「要請」という甘いものではなく、文字通り全ての飲食店が閉まった。
とはいえ、タイは元々デリバリー大国。コロナが流行る前からタイ版Uber eatsのFoodpandaやGrab Foodなどを使ったフードデリバリーが当たり前だったから、飲食店が閉まっても「お店の味」を楽しむことができたのは唯一の救いだったと思う。テイクアウトも利用可だった。
この措置が発表されたのが前日3/21のお昼頃。絶望的な気持ちになったのをすごく覚えている。慌てて夜お寿司を食べに行った。

3/23、ラオス・カンボジア・ミャンマーとの陸上国境を閉鎖。

3/26、非常事態宣言。
当時は4/12までの予定だったが、現在なんと10/31まで伸びている。
この非常事態宣言を受けて、外国人の入国が実質不可に。仕事を辞めたら真っ先に日本に帰ろうと思っていた私の計画も100%なくなった。

4/3、午後10時~午前4時までの外出禁止措置開始。

4/10、お酒の販売禁止
元々4/13~4/15までタイの旧正月にあたるソンクランがあったため、人々が集まることを避ける目的でお酒の販売を禁止にしたそう。
これまた発表されたのは前日。4/9の夜に慌ててお酒を買い込みにスーパーに行ったら大行列。行列に並ぶ人と友達になれそうと思ったのは生まれて初めて。
しかも当初4/20までの予定だったのが4/30まで延長。4/20までと思って用意してたからあっという間になくなり辛かった。

5/3、拡大防止措置で閉鎖されていた施設の一部が再開。
マーケットやショッピングモール内以外の飲食店、美容院などに行ける、そしてお酒が買える…!喜びをひしひしと感じた…。

5/17、ショッピングモールが再開。
行けるところが増えてきた。このあたりからだいぶ生活の幅が広がる。

その後ジムやレストランでのアルコール提供なども再開され、6月以降はほぼ元通りの生活が送れるようになった。

タイの現状

「新規の市中感染者0人」という状況がしばらく続いている。
それを受けて、街中の人がほぼ全員マスクをしていること、お店に入るときに体温を測ることを除いては、コロナが流行る前と同じ生活に戻ったと言っても過言ではない。バンコク名物大渋滞も元通り。

外国人観光客の入国は10/26から始まるものの2週間の隔離措置があるため、よっぽど時間とお金に余裕がある人以外は事実上不可と言って良い。
世界一の観光都市であるバンコクは、観光客0という状況によりその煽りを受けている。
タクシードライバーや飲食店など、観光客向けの仕事に従事していた人の多くが失業。それによる治安悪化や自殺者の増加など目を背けられない辛い事実がある。

とはいえ街中のショッピングモールは激混み。
富裕層が多いタイでは、タイ人と外国人在住者だけで結構経済って回るんじゃないかと錯覚?するほど、街中は人で溢れている。

タイの新たな一面

言い方が悪いかもしれないけど、タイもタイ人も結構ゆるいと思ってた。
衛生感はめちゃくちゃ低いし、仕事中Youtube観てるし、何かあったときにすぐに対応するような雰囲気ではないと勝手に思っていた。

コロナが流行って新たに知ったのは、
タイはめちゃくちゃ対応が早い・かつ厳しいということ。

措置が発表されるのが前日、というのはタイらしさを表しているなと思う一方、タイ国内でコロナを絶対に流行らせないという意志が見えるし、「要請」という甘いものではない。
衛生感のめちゃくちゃ低いタイ人がマスクをしたり、アルコールジェルを使ったり、トイレの後手を洗ったり(50%のタイ人が手を洗わない。コロナ流行ってから30%に減ったかなくらい。全て私調べ)、意外と適応力が高いことに驚いた。
タイ人の友達に聞いてみたら、タイ人はストライキやデモが多いから、何かトラブルが起こった時の対応にある程度慣れているんじゃない?とのことだった。

適応力が高いと言えば飲食店もそう。
タイはデリバリー大国だと書いたが、飲食店のイートインが禁止になってからというもの、今までデリバリーに対応していなかった店舗もどんどんデリバリーへの対応を始めた。
なんと五つ星ホテルや星付きレストランまでもがデリバリーを開始。
日本人が経営する飲食店でも、もつ鍋を頼むときに必要があればコンロと鍋まで一緒にデリバリーするなど、各店舗が趣向を凝らした工夫をしているのが非常に印象的だった。
また、店舗によっては失業者に対してフリーミールを提供しているレストランもあり、募金もかなりの額集まっていた。
助け合いの精神を持つ仏教国ならではな取り組みに、日本にはないものを感じた瞬間だった。

タイのこれからと私のこれから

今後コロナウイルスは収まっていくんだろうか。それとも第二波が来るんだろうか。専門家でも何でもないし全くわからないけど、意外と慎重派のタイと他国を気軽に往復できるようになるにはまだかなり時間がかかるのでは、という感じがする。

今年私は厄年。
仕事を辞めたと同時にコロナが流行したのは確かに厄年感がある。
今は政治的デモが盛り上がりを見せ始め、これからどうなっていくんだろう、と日々思う。なんだかタイですごい時代を生きている気がする。

救いだったのは、私だけでなく世界中の人が苦しんでいること。
どんなお金持ちも、仕事がある人もない人も、コロナウイルスがある世界に住まざるを得なくなってしまった事実は変わらない。
世界中の人がお菓子を作ったり、Youtubeを観ながらヨガをしたり、植物を育ててみたり、思い思いに工夫して過ごしているのは、なんだか同じ時を生きている感じがして嬉しかった。

コロナが流行って良かったこともいくつかある。
リモートワークがしやすくなったことと、日本にいる友人や家族と連絡がとりやすくなったこと。
海外在住者にとってはとても喜ばしいことだと思う。

いつ日本に帰れるかは全く分からない。
今はタイに住んでいる以上、タイで生きていくしかない。
悩み事は本当に尽きないけど、全部コロナと厄年のせいにして、残り少ない2020年は生きているだけですごい!くらいなノリで生きていこうと思う。

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