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駐妻の私が今思うキャリアのこと

当たり前といえば当たり前なのだけど、大学を卒業してから今まで8年間ずっと正社員としてフルタイムで働いてきた。
とはいえバリキャリと呼ばれるキャリアではなく、それなりの大学を出た女性が歩むであろうそれなりのキャリアを歩んできた。

そうして会社を辞めた私は今ようやく、「駐妻」と呼ばれる立場になった。

クラウドワークスなどでちょこちょこお小遣い稼ぎはしているものの、サラリーマン時代と比較すると本当に雀の涙程度。
趣味のカフェ巡りに使うくらいの金額しか稼げていない。

実を言うと、前職を辞めた後はリモートでできる仕事を探して、扶養の範囲内で働くつもりだった。
ところが会社を辞めるタイミングがちょうどコロナの流行と重なってしまい、社会の様相が変わってしまった。

こんな状況だから今無理にもがいたところで先が読めなさすぎるし、働いていないことに対する多少の罪悪感はあれど、今は自分の将来についてゆっくり考えることのできる貴重な時間ということにした。

そんな中私が考えたことをいくつかシェアしたい。

働かなくても生きていける

冒頭から何を言っているんだ、という感じかもしれないけど、この状況になって初めて気が付いたような気がする。
というのも、今まではなんとなく働かなくてはいけないような気がしていた。

それに私自身が働くことが好きだというのもあると思う。
働いている自分が自分にとって普通だし、心地良かったし、働いていない自分が想像できなかった。

ところが、働かなくても夜寝れば朝が来るし、働かなくてもお腹も空くし、働かなくてもそれなりに忙しいし、働かなくてもそれなりに疲れる。

働くことを通じて得ていた達成感ややりがいはないけれど、それも考え方次第。家事に力を注ぐことで達成感ややりがいを得ることができる人もいると思うし、そういう人は本当に尊敬する。
私は家事に達成感は見出せていないけれど、生きていけている。

経済的な理由さえなければ必ずしも働く必要はない

働かなくても生きていける、なんて言って、経済的に働かざるを得ない人を敵に回したと思う。
一応補足すると、私も独身だったら100%働いているし、結婚していても今住んでいるのが日本だったら100%働いている。
今働いていないのはタイに住んでいるから、という理由が100%だ。
ビザの問題とかいろいろあるからね。

ただ現時点では、幸いなことに働く夫がいて、奨学金も借りていないし、子どももいない。
こればっかりは環境によるところが大きいと思う。
人によってお金が必要になるタイミングは違うし、本当に現時点の私の状況として捉えてほしい。

そんな私が思うのは、経済的な理由さえなければ必ずしも働かなくても良いということ。
また一応補足しておくと、夫も同じ考え。
私がタイで働いていた時のお給料はめちゃくちゃ安かったけど、「お金より経験だよ。経験をお金と時間で買おう」と言って背中を押してくれたのは夫だった。

私たちは、夫婦は基本的に役割分担だと思っているから、その時々で適切な役割分担さえできていれば2人して必死に働く必要はないと考えている。
今は夫が働くという役割分担。毎日頑張って働いてくれていて本当にありがたい。
その分家事を私が多めにしているし、日本に戻った時に問題なく働けるように準備する時間に当てている。

キャリアの王道を目指そうとしなくてよい

これは本当に会社を辞めてニートになってから初めて気が付いた。
(専業主婦と言ってもいいのかもしれないけど、私は他の人に比べて家事も全然していないし、私自身はただのニートだと思ってる。他の人はその限りではない)

「キャリア」という言葉について考えるとき、つい「一般的なあるべき姿」を追っていた自分がいた。
その「一般的なあるべき姿」とは、正社員として責任のある仕事をして、用事があるときは職場に申し訳ないと思いながら有休を取って、子どもができたら産休・育休を取って、職場復帰したらまた申し訳ないと思いながら時短で働いて…といったものをイメージしていた。
日本で中小企業に勤めたことがないからわからないけれど、一度も転職しないまま大企業で働いている人はこのような道を歩む人が多いと思う。
いわゆる「王道」だ。

中には配偶者の駐在に帯同する期間だけ休職している人もいると思うが、私も含め多くの駐妻は退職した上で渡航している人が多いのではと思う。
その時点でもう「王道」からは外れていると思った方がいい。

私なんかはもう「王道」からはずれまくっていて、新卒で入った大企業が合わなさ過ぎて3年4か月で退職(もっと早く辞めれば良かった)、政府機関に転職して夫の駐在が決まり2年3か月で泣く泣く退職、タイに引っ越して数か月職探しして広告代理店で働いたのち家庭の事情で2年で退職。
そして今31歳ニート。
経験した3社は全部異業種だし、とても何かのスペシャリストと言えるようなキャリアではない。
政府機関に転職した時に実はかなり年収が上がったが、タイの物価に合わせたお給料に同意した上で転職したので、タイでは信じられないほど下がった。
それに海外勤務経験があると言っても英語圏ではなくタイだ。
多分履歴書を見た人は扱いづらそうな人だと思うだろう。

もう現時点で私は「王道」を目指すべきではないし、目指す必要もない。
「王道」を目指そうとするからキャリアに悩まされるんだと思う。
それに多分、「王道」と呼ばれる会社やポジションからはお呼びでない。

「王道」を目指さなくて良いとなれば選択肢はめちゃくちゃ広がる。
もはや私は正社員でなくても良いし、アルバイトでもいい。
短期間だけの仕事でもいいし、お給料も経済的な問題がなければ低くても構わない。
いつか子供を持ったときに周りに申し訳ないと思いながらわざわざ時短で働かなくてもいい。
雇用形態やポジションに捉われない選択ができると思えたのは、今の状況があってこそだと思う。

とはいえせっかくそれなりの大学を出て働いてきたのだから、単純作業や自分にプラスにならない仕事、お金のためだけに働くことは、本当に困ったとき以外はしない。

視野の狭かった以前の自分と比較して選択肢が増えていることに気づいたら、今後のキャリアについて考えるときにめちゃくちゃ楽になった。
奇しくも世界中の人が「ステイホーム」しなければならない状況と同時に無職になって身動きが取れなくなったからこそ気が付けた。
何事も厳しく堅く考えがちな私にとって、今のようにじっくり考える時間があることはとても意味のあることだ。先のことを考えると不安ももちろんあるけど、それよりもむしろわくわくしてくる。

「王道」ではない今後の生き方を今まさに考えている。

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