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新刊試し読み!『決定版 インドのことがマンガで3時間でわかる本』

4月12日(金)発売の新刊、『決定版 インドのことがマンガで3時間でわかる本』の「はじめに」を公開します!

■編集担当より
ついに世界人口ランキング1位となり、中国に変わる市場として世界が大注目しているインド。

現地のインドを熟知した著者たちが
リアルなインドの最新情報を
マンガで楽しく分かりやすく教えます。

ビジネス参入したい人にも
インド映画でちょっと興味をもった人にもおすすめの
文化、歴史、政治、経済、ビジネス事情まで、まるわかりの1冊です。



■Amazonリンクはこちら


【はじめに】

『決定版 インドのことがマンガで3時間でわかる本』を手に取っていただきありがとうございます。2006年、無印の「インドのことが」が世に出て以来、「2015年改訂版」に続く大幅な内容刷新を行いました。コロナ禍を除き毎年増刷を重ね、実は20年近い長きにわたる現代インド入門の隠れたロングセラー(拍手)。読者のご支持と、執筆陣による実用的で信頼できる中身、飛鳥幸子先生の魅力的なマンガと編集部の尽力あっての賜物です。
 2006年版の「はじめに」では、インドは「10億の最後の巨大マーケット」でした。それが2023年には14億に達し、世界最大の人口大国に。インドは変わらず統一国家ですが、国内に中規模国家が10くらい増殖したようなもの。さらに「グローバルサウス」や世界の安全保障のキープレイヤーとして、圧倒的な存在感を持つに至り、国家としても社会としても、20年前と同じ目で見て分析したのでは追いつきません。

 この20年、日本とインドが相互に抱く関心や実際に関わりあう人たちは飛躍的に増え、様相も多様化しています。本書の項目や内容も時のニーズにできるだけ対応しながら、基本と客観性を押さえ正確であることを心がけて来ました。しかし巨大で多様なインドでは、誰が・いつ・どんな立場で・どの角度から見るかで「事実」も「解釈」も変わります。インドに長く関わると実感するのが「インド人の言うことがアテにならない」なのですから。日本人が必ずしも日本に詳しくないようにインド人にも同じことが言えるのですが、さらには社会や宗教、階層の多重性から、あるインド人が知りうる「インド」は不正確ではないが一面的に過ぎないという難点があるのです。
インド在住の日本人が増え、膨大な現地情報が速報される現在ですが、それでもインドの側で本当に重要な事件や案件が、分かりやすく的確に日本の一般向けに伝わることは難しいのです。海外報道でインドに割かれるスペースは僅か。経緯や背景が説明不足のまま、よく理解されず一過性の話題で終わり。しかし、将来有望な大市場や国際社会での存在感に注目するなら、それらがインドの国や社会や人々という土台の上に展開していることを忘れてはならないでしょう。本書では各テーマを長い目で重層的に捉え(限られた字数で!)、客観的に記述するよう努力しています。
 主にビジネス用途を想定している本書ですが、ゲームやコンテンツなどを通じ新しい視点でインドに関心を向ける、未来のインド最前線も開けて来ました。そんなニーズにも応えられる「決定版」であることを願っています。

 改訂版から引き続き執筆、改訂いただいた辻田、三輪、繁田の各氏、継続掲載をご快諾いただいた中島氏、無印時代からの“レジェンド”飛鳥幸子先生とガネーシャ氏、コロナ禍中も本書を見捨てず「決定版」を企画してくださった編集部に心よりお礼を申し上げます。

*インドの地名、固有名詞は専門家の監修を受けた現地音に近い表記を採用するようにしているが、広く通用している、読みづらいなど読者の便宜も考慮して選定した。ヒンズー語、タミール語、シーク教など明らかな誤りは除外した。

*インドでは公式地名の変更(ボンベイ→ムンバイ・1995年、バンガロール→ベンガルール・2014など)が頻繁に行われ、今後も続くと思われるが、インドでも周知が進まない、呼びにくいなど、定着しない例もある。また、知名度の高い旧名は、広く併用されて間違いとはみなされない。「ボンベイ証券取引所」や「マドラス大学」などは固有名詞で、変更されていない。本書では読者の便宜を考慮し、旧名優先で表記している例もある。

*インドの国勢調査(センサス)は10年ごとに実施されているが、調査対象が大きいためデータ確定まで数年を要する。至近の調査(2021年)はコロナ禍の影響を受けて調査と集計が遅れているとされている。そのため本書では主に2011年調査の数値を利用している。