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なぜ、施術家たる者が「解剖学」をきちんと勉強しないのか?

僕は施術歴15年以上になりますが、
今も勉強し続ける原動力の1つとなるのが、この疑問です。

医師は患者の「命」を預かっていますが、
施術家は「体」を預かっていると考えています。

医学の進歩とともに、今の常識が数年後には変わってしまっている事もあります。
例えば、数年前までスポーツの現場では、水分補給について今ほど重要視されていませんでした。
公式の試合でも、わざわざプレーを中断してでも水分補給をするようになっています。

医療だけでなく、ITや他の分野でも、現在の「常識」は数年後には全く通用しない事があるのです。

ですから、自分自身の施術や技術は常にアップデートしていかなくてはいけないと考えています。
いつまでも古い考えでいると、医師なら救える命が救えない様に、救える体の不調を救えないという事が起きてしまいます。

その時点で気付いて、新たに学ぶ姿勢があるのなら良いのですが、
長年、学ぶ姿勢がないのは現状にしがみついている精神状態が考えられるので、自分の勉強不足に原因を求めず、他責として考える事が多くなってきます。

そのあたりの根拠についていくつか解説していきます。


1,現状維持バイアスや損失回避の心理

現状維持バイアスとは、誰しもに備わっているもので、現状をキープしようとする心理作用の事をいいます。例えば、人は未知・未体験なものには尻込みしやすい傾向の事を言います。

また損失回避の心理というものがあって、新しいものを得る事による幸福感よりも、今まで持っていたものを失う苦痛の方が大きいというものです。

これらは社会実験によって数々証明されています。

これらを「解剖学」に当てはめてみると、
今までの「常識」で一定の成果が出ているし、
新しい概念があっても、新に導入し、今出ている成果を失いたくない。
または、新しく導入する事で、「今までのやり方で成果が出た」というプロセスを否定したくないというものもあるかもしれません。

世の中に溢れる「無料お試し」や「全額返金キャンペーン」などは、この心理を狙ったものが多いです。

2,成果を売上でしか見ない

ビジネスとしてやっている以上、企業として存続・継続していく必要があるし、利益追求は企業の「条件」になります。
だから、売上で成果を測るという面はあって当然だと思います。

しかし、お金の為だけの整体やカイロプラクティックではないはずです。
お客様や患者様の生活・体質改善や症状改善などが目的だと思うのです。

それで成果の測り方が「売上」だけでは、筋が通っていないとは思いませんか?

また、企業のキャッシュポイントが複数ある場合で、利益が目的になってしまっていたら、自身をアップデートすることなどないでしょう。

例えば、ある治療院で施術、健康器具や寝具の販売、サプリメントの販売などをしている場合、3つのキャッシュポイントがあります。つまりは売上の柱が3つあるということです。
自身の施術をわざわざアップデートしなくても、健康器具や寝具、サプリメントへ患者様を誘導する道筋があるので、売上があがり、経営が安定します。
施術を「そこそこ」から向上させる意欲も、意思もなくても、利益は確保できるので目的達成となるのでしょう。
企業の目的に合わせて、それぞれの成果の測り方が必要になります。


3,同じ「分野」でも、興味のある「こと」が違う

施術に携わっている者でも、その関心が解剖にあるのか、ビジネスにあるのかで話していても、「ずれ」を感じることがあります。

例えば、趣味の話で言うと「海が好き」という2人が居たとして、Aさんは「海を眺めて、ボーっとするのが好き」で、Bさんは「海でアクティブに遊ぶのが好き」という事があります。
この様に興味の「分野」が同じでも、関心のある「こと」が違う場合があります。

ビジネスという視点で言えば、企業理念が各会社で違う様に、何を信じていようが個々の自由だと僕は考えていて、その上で、施術家という視点でその人を見た時に尊敬できるかも大切にしています。


まとめ

僕自身の経験と今まで関わってきた施術家を見ていて、感じたことを書いてみました。

黒人初のメジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソンがこんな言葉を残しています。

「“不可能”の反対語は“可能”ではない。“挑戦”だ。」

施術を追求する姿勢がなく、体が良くならない原因を他のマットレスやサプリメントなどに求めるような考え方ではなく、日々アップデートし続けるという途方もない「挑戦」を行う施術家でありたいし、これからもそういう施術家と関わっていきたい。
僕はそうして日々、施術の基礎となる解剖学と向き合っています。

①人間誰しも、現状維持バイアスや損失回避の心理が作用する。なるべくこの心理を、普段から意識する事が大切。

②会社は、利益追求が目的ではない。
「〇〇の為」というのが「目的」にあたり、利益は「条件」であって、目的ではない。
社会貢献などが目的にあたる場合には、その貢献度を測るには、どんな効果を測るのがよいか検討する。

③人が同じ「分野」を好きでも、その関心の向く「事柄」は違うこともある。
自分の考え方とあった人と付き合う事の大切さ。


最後まで読んで頂きありがとうございました。
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