マガジンのカバー画像

Complete Jazzmaster Settings

22
日本で最も詳しいジャズマスターの書籍
運営しているクリエイター

#音楽

ジャズマスター概観

フェンダー社のエレクトリックギター「ジャズマスター」は、フェンダー社の最上級モデルとして1958年のNAMMショウで発表されました。 多くのジャズ&ブルースギタリストのスタイルにあわせ、座って演奏する場合でも体にしっかりフィットするようデザインされた「オフセット・ウェスト」型のボディ、独立したボリューム&トーンコントロールが可能な2系統のコントロールサーキット、弦が切れた際にチューニングの狂いを抑止できる、ロック機能のついたフローティングトレモロ。メロウでジャジーなトーンを

プロトタイプ〜仕様の変遷

プロトタイプ フローティング・トレモロのアイディアはストラトキャスター開発時のシンクロナイズド・トレモロの対案として存在したといいます。ストラトキャスターは販売直前まで別のトレモロが搭載されることになっていましたが、サスティンが無くなってしまうという課題を克服できず、直前で全く違うトレモロをゼロから設計し直したということです。ストラトキャスターに採用されたのはシンクロナイズド・トレモロでしたが、この際にお蔵入りしたアイディアの一部がフローティング・トレモロに生かされているとい

+18

'62ジャズマスター

Inside of ’62 Jazzmaster

62年はジャガーの発売もあり、ジャズマスターにもいくつか仕様変更がありました。 大きな違いとしてはスラブ指板(slab boad)からラウンド指板(Veneer boad)への変更ですが、その他にも細かな変更があります。 プリセットコントロール用のブラスプレートはカッターの刃を利用してボディーに固定され、カッターの刃はしっかりとプレートにハンダ付けされ固定されています。 メインコントロールのバスタブプレート、厚み0.5mmほどのブラス製で、ザクリと同じ大きさ

有料
350
+19

クローズアップ

ネックアングルの調整

ジャズマスターを始めとした60年代のフェンダーギターのほとんどのモデルで、ネックはボディー面と並行ではなく若干の角度が付くように調整されています。特にフローティング・トレモロという新たなトレモロユニットを導入する上で、ジャズマスターのネックに角度を付けるのは必須事項であったに違いありません。ネックの仕込み角をつけないとどうなるかはネックポケットにシムを挟んでいないFender Japan製のジャズマスターやジャガーを弾いてみれば分かるでしょう。良く調整されたギターもありますが

有料
350

ジャズマスターピックアップ

はじめにこのエントリーではジャズマスターのピックアップについて様々な角度から分析した結果を記しています。記載済みのコンテンツは下記の通りで、後半は有償コンテンツとなっています。 ピックアップの特徴 ・薄型のデザイン ・プロトタイプ ・ハムキャンセル ・直流抵抗値 ・マグネット ・ボビン素材 ・マグネットワイヤー ピックアップの高さ調整 ピックアップ・データ ・'50s-60'sビンテージ ・USA ・Squier Classic Vibe Jazzmaster ・セイモアダ

有料
350

フローティングトレモロ、ブリッジ

ジャズマスターから採用されたフローティングトレモロはシンプルな構造ながらレオ・フェンダーの考案したトレモロユニットの完成形でした。 このエントリーには下記のコンテンツが含まれます。後半は有償コンテンツです。 設計思想 ・ジャズギターとの類似点 ・可動式ブリッジ ・トレモロロック フローティングトレモロの構造 ・弦間ピッチ ・弦落ちのメカニズム ・トレモロスプリング ・ブリッジレッグ ・ブリッジサドル ・ブリッジ高さ調節ネジ ・ブリッジアンカー 設計思想フローティングトレモ

有料
350

Squier VM Jazzmaster インプレッション

手に取っての第一印象は、「軽い!」「指板がフラット!」という感じでした。音は出力が高く、嫌な高域や音詰まりもありません。 無改造のフェンダージャパンより使い易いサウンドです。 外観はポールピースの面取りもUSA(AVRI '62)ほど酷くはなく、ボディの色も複数種類から気に入ったものを選べます。ネックの色もビンテージを意識したアンバーで、ジャズマスアレンジのヘッドロゴも手が込んでいます。ピックアップカバーに「Duncan designed」と書いてあるのはイマイチですが、

スルメメソッド

スルメのようなサウンドこの記事はスルメではなく、ビンテージ・フェンダー・サウンドについて書いた記事だ。 さて、世の中には聴けば聴くほど味が出てくる曲を指す「スルメソング」、音源を指す「スルメ盤」などの表現がある。 これは噛めば噛むほど味が出てくるというスルメになぞらえた表現だが、今回私が「スルメ」という言葉で表現するのは旨み成分の「凝縮」である。 巷で「枯れた音」と評されるビンテージ・フェンダーのサウンドは、スルメが水分を失って美味しくなるように、ギターから余計な振動や信