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アベラール

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12世紀の神学者・哲学者・修道者のアベラールについて
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#フーコー

中世キリスト教修道生活の核心その7 すべてを捨てる・自己放棄3/3(フーコー) ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その7 すべてを捨てる・自己放棄3/3(フーコー) ChatGPTでアベラールとエロイーズ

前回からの続き

フーコーによる自己放棄の説明

 戒律・規約はアベラールが言うとおり、自己放棄は上長に完全服従し、「他人の支配下に自己を委ねる」ということであった。このことからアベラールはごく標準的なことを書いていたと結論できる。フーコーも同様な指摘を「性の歴史 4巻 肉の告白」(新潮社、慎改康之訳)第1章4節「技法中の技法」において展開しているが論旨の展開順が異なるので見てみよう。
 まず、p

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中世キリスト教修道生活の核心その4 禁欲2 ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その4 禁欲2 ChatGPTでアベラールとエロイーズ

禁欲1の続きです:

アベラールの文書の次は節制・禁欲について修道院文書で確認しよう。

修道院規則に現れる貞節・禁欲について

 アベラールはルカ伝12の35(腰に帯)の引用に続けて「貞節というのは、使徒が熱心に説いて、「婚姻せぬ女と童貞女とは、身も霊も聖くならん為に主のことを慮るなり」(コリント前書7の34)と言っているその純潔である。・・・」と述べており腰に帯というのは聖書からは全く読み取れ

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中世キリスト教修道生活の核心その2 序論 2ー禁欲・自己放棄・沈黙ー ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その2 序論 2ー禁欲・自己放棄・沈黙ー ChatGPTでアベラールとエロイーズ

前回からの続きです:

ルカ伝14の33:無所有=すべてを捨てる

31,32ときて33になる話の流れが見えないが、下記のようにキーワードは順番が違うが出てくる。この差がなんなのか私にはわからないがChatGPTでは差がない。
renuntiat omnibus(聖書)→omnibus renuntiare(アベラール)
格が読めれば問題ない倒置なのかも。
 このように無所有は本当に全て自分の財産

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中世キリスト教修道生活の核心その1 序論 1ー禁欲・自己放棄・沈黙ー ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その1 序論 1ー禁欲・自己放棄・沈黙ー ChatGPTでアベラールとエロイーズ


はじめに

 先日お伝えしたアベラールのSic et Nonの継続の前にアベラールが修道活動に対しどのような考え方をしていたか「アベラールとエロイーズ」(岩波文庫 畑中尚志訳)の第8書簡を中心に確認しておこう。
 アベラールは12世紀に活躍していた。アベラールとエロイーズを読むと、アリストテレス、セネカ、オリゲネス、ヒエロニムス、砂漠の師父たち、アウグスティヌスの引用が沢山出てくる。この本を知っ

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