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好きな漫画を語る〜「SWAN —白鳥—」

聖 真澄ひじりますみ
という名前の人物が主人公の漫画があります。

「ガラスの仮面」のファンでしたら、思わず二度見するような名前です。

そそっかしい人なら、
ああ、真澄さんもいろいろ疲れてしまって、聖さんと養子縁組を結んだのかしら?それもいいかもしれないわね。
などと早とちりするかもしれません。

違います。

先日、この雑誌を購入しました。

私が子どもの頃好きだった漫画が網羅されています。

この雑誌の中でけっこうな尺をとって紹介されている作品に、これがありました。

有吉京子 作
SWAN —白鳥—

1976年から1981年まで週刊マーガレットに連載された、バレエ漫画です。

はしょりにはしょって説明すると、バレエ版「エースをねらえ!」といった感じでしょうか。

主人公は、北海道でバレエを習っていた聖真澄。
旧ソ連の名ダンサー、アレクセイ・セルゲイエフに見出され、世界を目指すダンサーへと成長していくストーリーです。

このセルゲイエフ先生が、「エースをねらえ!」での宗方コーチ的存在です。
お蝶夫人的キャラクターは、京極小夜子
高校生でありながらゴージャスな巻き毛に、オフはロングドレスをお召しになるような高貴な存在です。

この漫画の魅力のひとつは、なんといっても美しい絵にあるでしょう。
いやもう本当に美しいのです。私の語彙力ではそれしか言えません。

全面ベタ塗りの見開きページに浮かびあがるバレリーナの姿。
その表情。しなやかでありながら筋肉のついた肢体。妖精の羽のようなチュチュ。どの角度からでも完璧なデッサン。
もはや芸術です。

そして全編を通して、劇中劇ならぬ劇中バレエがたくさん出てきます。
白鳥の湖、くるみ割り人形、眠りの森の美女、ジゼル、ラ・シルフィード、ドン・キホーテ、コッペリア、森の詩、etc…。
どれも、音楽が聴こえてきそうなほどの贅沢なシーンばかりです。

主人公の真澄は、日本のみならずイギリスや旧ソ連、アメリカなどで修行し、挫折を繰り返し、真剣な(でも全読者からソレジャナイ!と突っ込まれた)恋愛を経験して成長していきます。

名作に名セリフあり、と私は常々感じているのですが、この漫画にもたくさんの名セリフが出てきます。
中でも、終盤で真澄がつぶやくこのセリフが好きです。

おしつぶされそうな暗やみの中で
この刹那の光のために
わたしは——
気の遠くなるような時間ときを闘っていくだろう
そうして フッ…と横を見ると
同じところに立っている
あなたを——見つける
「SWAN」文庫版第12巻より

これとまったく同じセリフが、最終巻(文庫版第14巻)の最後のページにも出てきます。

何度みても泣けるシーン。
このとき真澄の横には、その「同じところに立っているあなた」がいます。

紆余曲折の末、真澄が見つけた真のパートナー。
宗方コーチの名言、「男なら女の成長をさまたげるような愛し方はするな
を体現するような男性です。

さあ誰でしょう。

気になる方は、ぜひ本作をお読みください。

なんでしたら、私の蔵書をお貸しいたします。

ご希望の方は、私の所属先である大都芸能(担当:水城)までご連絡ください。

お待ちしています。



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