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靑生ふゆ
2021年11月3日 13:47
此処は月。 幾光年を越へて、やはり僕は戻ってきた。そう思って居たよ。 独り乗りのグリーンライト製宇宙船は故障している。月に暫くは暮らす定めだ。 僕はカプセルスイツのジップをしっかり口許迄上げ、立ち尽くした。方々を見る。「美しひところには、いつも海があるナア。」呟く。 凹凸が成した沢山の海。月の海達。 今僕は、そのうちの一つの砂浜に立っている。嘆きの海。昔の人は幾分も詩的だったのだな