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靑生ふゆ
2024年5月13日 13:46
ーーー此処は暮れ泥むトワイライトに照らされた小さな部屋で、寧ろそれは地下室と呼ぶべきかもしれない。けれどこの僕には珍しく暖色で書き留めたいひかりが机をぼおと包むので、やはり此処は未だ地上だった。これは終わってゆく世界で、いつか海に漕ぎ出したぼろぼろの小舟は、先頭を波を踏んで歩いた馬のあとを追うようにじわりじわりと沈んでいった、馬のきれいなたてがみが塩水で固まった様を僕は見た。でもどうすることもでき