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モロッコのお茶から考える ”ジオダイバーシティ”

今日10月6日は国際ジオダイバーシティデー

私たち人間は、常に自然と相互に作用し合っています。それが、人間にとって都合の良い時は「恵み」と呼び、悪い時は「災い」としています。私たちが受けている恵みは、「自然」と密接に繋がっており、土や気候・太陽・宇宙にまで広がります。
10月6日は国際ジオダイバーシティデー。2022年からユネスコの活動として始まり「世界中の人々が地球の多様性や地質遺産の重要性について理解を深める日」です。
地球規模での“ジオダイバーシティ”の学びを、一緒に深めていきましょう。

ジオダイバーシティデーを祝う写真 世界ジオパークネットワーク(GGN)作成

地質・地形の歴史を知る大切さ

先月9月にモロッコのマラケシュで国際会議が行われました。モロッコのM‘GOUN ユネスコ世界ジオパークでは、恐竜の化石が見つかった=かつて恐竜がいた場所、として知られています。

M'GOUNジオパーク開催 国際会議のポスター(恐竜)https://www.mgounggn2023.com/

では、阿蘇の歴史を紹介するものには何があるでしょう。
阿蘇では、地層の黒ボク土(火山灰を主とする厚い堆積物)から、阿蘇中岳の噴火の歴史が分かります。また、イネ科植物の葉の細胞にできる物質からは、草原が広がっていたことが分かり、そして、断層からは地震の歴史が分かります。
これらの地質・地形の「歴史」を知ることで、私たちは未来の災害を想像することができ、例えばハザードマップといった減災にも役立っているのです。

プラント・オパール (森林総合研究所九州支所)
http://www.ffpri-kys.affrc.go.jp/kysmr/data/mr0076k2.htm 

商品の”生産プロセス”に思いを馳せてみましょう

ところで、先述したモロッコ国際会議に参加した上司より、モロッコで親しまれている“ミントティー”のお土産を頂きました。その時、私はふと思ったのです。「モロッコの砂漠地帯のどこで、どうやって茶葉は栽培されているんだろう、、。」気になって調べてみると、どうも茶葉は中国で生産・そして輸入された緑茶のようで、広くモロッコで親しまれているブランドでした。

モロッコのお茶。ミントを入れてミントティーとして飲まれているそう

更に調べてみると、緑茶栽培の土壌条件というのは、排水性や通気性がよく、保水性も兼ね備えていること。根が成長できるような土壌の深さが60cm~1Mあること。土壌中の礫(れき)や粘度の割合が高くないこと。そして、土壌のpHは一般的な作物の好むpH6~7より低いpH4~5になっていること。だそうです。なんのことやら、、と思われるかもしれませんが、そういった私たちの知らないところで条件を満たした土壌によって美味しい茶葉が育まれ、知らず知らずのうちに私たちはその恩恵を受けているのです。
私は、自然に想いを馳せて目の前の商品を知り、選択することの大切さを感じました。

ちなみに、阿蘇でも緑茶の栽培が行われており、ハーブや薬草を使ったハーブティーのお店もあります。

持続可能な社会を実現させるには

これから私たちは、“ジオダイバーシティ(地形・地質など私達を取り巻く自然)”への理解を深め、持続可能な社会を実現させる必要があります。そのためには、私たちの先祖がどんな生活を送っていたのか、歴史を地球規模で考え、これからの地球保全に向けた行動を考えていかなければなりません。
例えば、なぜモロッコではミントティーが飲まれてきたのか?それは、砂糖がたくさん入った甘いミントティーが、熱い気候のモロッコでのエナジー補給になるだけでなく、ミントが爽快なリフレッシュになるからと言われています。
『気候』といった自然から食文化も知ることができます。この大切な食文化を守っていくためにも、より良い選択をしていかなければなりません。
少しずつ着実に、地球の恩恵を次の世代へと繋げていきたいものです。最後までお読みいただきありがとうございます。
~ハッピー 国際ジオダイバーシティデー!~

【世界ジオパークネットワーク(GGN)が今日のお祝いに向けて制作した映像です。以下リンクから是非ご覧ください。】


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