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性被害にあって

#多様性を考える

女性として、性被害にあうことは決して珍しいことではありませんが、それを告白できる人は多くありません。自分の尊厳をぼろぼろにされた後に、第三者に向かって「私は、いついつ、このような方法で、ぼろぼろにされました」と再現するのは、とてもみじめだからです。警察や弁護士はもちろん、家族や恋人に伝える際は、なおさらです。誰にも話せない人もいます。

けれど、私は今回、勇気を出して自分の体験を少しシェアします。この記事を読んでくださる皆さんが、性犯罪は最悪だ、自分は加害者にならないぞ、被害者になった場合は可能な限り警察に行って法的措置をとるぞ、と思ってくださればうれしいです。なお、本記事に記載するのは私の体験・私の言葉です。すべての被害者の方が同様のことを考えていらっしゃるわけではないので、悪しからず。

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私は、大勢の皆さんと同じように、今まで複数回の性被害を受けたことがあります。

一番最初は小学生の時でした。上級生の男の子から被害を受けたことを友達に相談すると「○○君がそんなことするわけないじゃん、嘘つき!」とからかわれたので、その経験はそれ以降、ほとんど誰にも話しませんでした。(当時両親には報告し、加害者の親御さんから泣きながら謝罪を受けました。本人はもじもじしながら「ごめんね、もうしないから許して」と言っていました)

次は中学生の時でした。学校からの帰り道、歩いているといきなり誰かにお尻をつかまれました。てっきり友達からのいたずらだと思い、笑顔で「も~何!?」と言いながら振り返ると、眼鏡のおじさんがいました。

高校生の時には、電車の隣に座った男の人にスカートの端をつかまれ、太ももをさわさわと触られました。怖くて身体が動かず、自宅の最寄り駅に着くまでの15分間「気のせいだ」と思い続けました。

大学生活を大阪で過ごした際には、電車の揺れにあわせて下半身をぶつけてくるおじさんがいました。「これは痴漢?私の勘違い?」と自問自答を繰り返しながら、恐怖の中持っていたトートバックで精いっぱいおじさんを押し返し続けました。

クリスマスの晩には、繁華街でもない駅で、まだ往来の多い夜22時頃に、酔っぱらった男の人にいきなり抱き着かれ、額にキスをされました。「やめてください!」と言いながら押し返しても全く離してもらえず、通行人からは、聖夜にいちゃつくカップルに見えたと思います。誰にも助けてもらえず、隣を通りかかった人の服の袖をつかんで「助けてください、この人知らない人なんです!」と叫びました。

社会人になってからの、初期配属地は東京でした。満員電車から降りようとした際誰かに腕をつかまれ、電車を降りられなくなりました。一緒にいた同期に引っ張ってもらい、頑張って腕を引き抜きました。

そして一昨年。また性被害に遭いました。今まで体験した中で一番恐ろしく、自分の尊厳をめちゃくちゃにされる出来事でした。今も対人コミュニケーションに支障が出るような大きな傷跡が残っています。ただ、この件については既に法的手続きが完了し、加害者側とも決着がついているので詳細を申し上げることはできません。

これらの出来事のうち大半については、警察に行きました。犯人が見つかった場合も、見つからなかった場合もありました。私は、この7件の被害回数について、多いとは思いません。世間一般の女性と比べると、むしろ少ない方なのかもしれません。

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こんな被害にあったのは、私になにか原因があったからなのでしょうか?

「かわいいと大変だね」と言われたことがあります。喜べば良いでしょうか?悲しめば良いでしょうか?それとも、皮肉だったのでしょうか。

「ノーメイクでジャージで歩くようにしたら?」と言われたことがあります。私が、性被害を受けたいと思ってメイクをし、小綺麗にして出歩いていると、思ったのでしょうか?ちなみに、上述のような被害にあった時、メイクをしていなかった場合も、長袖長ズボンの地味な服装だった時もありました。

「小柄だからだよ」と言われたことがあります。好きでこの体格に生まれたと思ったのでしょうか?ニコラを読みながら、身長163cmに憧れを抱いていましたが、残念ながらそれほど伸びなかったのは、私の責任ではありません。

「優しそうだからだよ」と言われたことがあります。コミュニケーションにおいて、最低限の礼節を尽くして接するのがマナーと思っていました。もし私がいつも仏頂面で必要最低限の会話しかしなければ、社会人としての評価が下がっていたのではないですか?

被害者に「~~だから被害にあった」という理由はありません。犯罪行為を行ったのは加害者です。犯罪行為を行った原因は「加害者が犯罪を行っても良いと思ったから」です。被害者は一方的に巻き込まれただけであり、一切非はありません。

ただ、そうと知りつつ、私が今でも最も心をくじかれるのは、「加害者が私に対して犯罪を行っても良いと思った」という事実です。完璧に見下されていますよね。小柄だったから、反抗しそうに見えなかったから・・・どんな理由であれ、私をそんな風に扱って良いと思った、そのことが許せません。性的欲求のはけ口として利用されたこと、ヒトでなくモノとして扱われたことに憤りを感じます。

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私にこのような人生経験があることは、特に何の意味もないことであり、そこからは何の学びも得られません。でも、「性犯罪を起こすと社会的にどのような制裁が下るか」を、わが弟と当時の彼氏(今の夫)は真っ直ぐ見つめてくれました。それがどれほど非人権的な行為か彼等が理解してくれただろうことが、私の救いでした。(自分の家族やパートナーが性犯罪加害者になってしまった時、どう受け止めれば良いか見当もつきません)

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皆さん、今一度知ってください。

性犯罪は、本当に非人権的な行為です。セクハラ、痴漢、盗撮、いたずら、、、そんな言葉で誤魔化さないでください。それらは全て、人の尊厳をめちゃくちゃにする、最底辺の犯罪です。

私はこれからも、性犯罪サバイバーとして生き続けます。一人でお風呂に入るのが怖くなり(他人が入ってくるかもしれないと思ってしまう:性被害を受けた方に共通する症状だそうです)、男性に背後に立たれるのが怖くなり、多くの人の注目を集めるのが怖くなりました。加害者の中には謝ってくれた人もいましたが、謝るくらいなら最初からしないで欲しかった、私の人生をこんなふうにしないで欲しかったと思います。


近年顔や名前を明かして、性被害を告白する方々がいます。私は彼女達を尊敬してやみません。冒頭に述べたとおり、自分の尊厳がめちゃくちゃにされたと明らかにするのは、みじめで辛い作業です。それでも、誰かが口に出さないと変わらない。私は顔を明かす勇気も、名前も明かす勇気もないですが、文章にすることはできました。どうか沢山の人に読んでいただき、性犯罪を許さない気持ちを今一度持っていただけると嬉しいです。


#性犯罪 #性被害 #ジェンダー #エンパワー




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