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「やりたい事」は、勃起しない。

「好きなもの探し」や「やりたいこと探し」といった言葉に、人が簡単にのせられてしまうのは、なぜなのか。自分はここにいるのに、「自分探し」という言葉もよく流行って、疲弊していく人たちをたくさん見てきた。


当たり前だけど「やりたいこと」も「好きなもの」「本当の自分」も、どこかに落ちてるものではない。

では一体、何を探しているのだろう。


彼(女)らが本当に望んでいるのは、「やりたいこと」や「好きなもの」でもなく、人生をかけて「燃える何か」に出会いたいのではないかと、私は思う。


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ここ数日、「自己表現」について話をしていて、同時にYouTubeでは「セックス」についても話し始めた。これら2つは全く違うものに思うけれど、密接につながっている。


私達が持っている性欲。これは生きていく上で最も大切なエネルギー。これがなくなると、私たちは生まれてくることもできないし、生きてもいけない。


例えば、誰もセックスしなくなったら人間も全滅しちゃう。その前に、生きる意欲も失いかねない。それは性エネルギー自体が「生命力」でもあるからだと思っている。


ではなぜ、自己表現とセックスがつながってくるかというと、自己表現をすることで、自分の中にくすぶっている「性エネルギー」を昇華させることができるからだ。


自分の中にたぎる性エネルギーを燃やすこと。

それが、生きる上でとても大切で、その手段が自己表現であり、セックスになる。

では、もしその性エネルギーが燃やされることなく、身体の中にくすぶっているとどうなるのか?



人の性欲のさらに奥深くに「愛されたい」という欲求がある。これは、人間の根源的な欲望。言い換えれば、他者と「つながりたい」という欲望と言えるかもしれない。


性については色々な解釈ができる。フランスの哲学者ジョルジュ・バタイユによると、

「性活動において他者は、絶えず連続性の可能性を与え続けている」(『エロティシズム』170頁)

宗教の本質は、「失われた内奥性(連続性――引用者)を再探求することにある」(『宗教の理論』74頁)。


バタイユは、人は生まれ落ちたその瞬間から、「非連続(ふたつ)な存在」になると言っている。母親と「ひとつだった存在」が、生み出された瞬間に母親と隔絶されて「ふたつ」になる。

性欲とは、非連続(ふたつ)な存在が「ひとつに戻りたい」と望む、連続性(ひとつ)へのノスタルジーであると。


ただし、セックスでひとつになれるのはたったの一瞬だけ。その瞬間が終わればまた、ふたつに分かれ1個の個体として生きていくしかない。


完全にひとつに戻れる時は、「死」のみなので、孤独や絶望感に苛まれた人にとって、「死」はとても甘美なものに思えるのではないかと解釈している。


セックスは、そんな人間の生死を体現させてくれるもの。


私たちはセックスの話になると、興味を惹かれる一方でどこか不安で怖くなる。世間的にタブー視されやすいのも、こういった理由が関係しているように思う。

人間の性のエネルギーは、自分というものを表現するためのエネルギーであって、それがうまく行かない間はいろんなヘマをする。だから、 SEXに関しては「いやだなー」という自己嫌悪がつきものではあるんだけれども、もしもうまくいって「これが自分を表現することだ!」というようなことが見つかって、うまく性のエネルギーを昇華する。

—『ぼくらのSEX (集英社文庫)』橋本治著

 
性エネルギーとは、人にとって「自己表現」でもある。自己を表現し、性エネルギーをうまく循環させることが出来ている人は、輝いていて幸福感に満ち満ちているように見える。


逆に自己表現がうまくいかないとなると、いろいろと問題が起こってくると、橋本治さんは言う。

例えば、主婦業に退屈した女性が不倫に走るように。家で男として見られなくなった男性がキャバクラにハマるように。性エネルギーを持て余してしまった人は、自分や他人が傷付こうとも、破壊的にエネルギーを注ぐようになってしまう。


性エネルギーが滞ってしまうと、「存在意義」を見出せなくなってしまう。だから、どれほど破壊的な方法でも、自分の存在意義を必死に確認しようとしてしまうのかもしれない。



人は自分の中にたぎる、性エネルギーを燃やしたい。

人生をかけて「燃えるもの」に出会いたい。


だから、「好きなもの探し」や「やりたいこと探し」といった上手い言葉にのせられてしまう人が絶えないのではないだろうか。

そんな言葉に振り回され、疲弊していく人をたくさん見てきた。


このように、人は魂が震えるような、心から燃える何かを人は探し求めているのではないかと思う。


幸福な人生とは、自分の中の性エネルギーが「燃える何か(自己表現)」に出会えることなのかもしれない。



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