β-503 AC 2021 その4

ここではACジャパンの2021年度キャンペーンにおけるNHK共同キャンペーンならびに広告学生賞、そしてACジャパンのキャンペーン総評をご紹介します、広報でもなんでもないので一個人の単なる感想に過ぎないのですけれどね。

ちなみに昨年度はこちらから。

では、早速。

NHK共同キャンペーンー誰も知らないー

2021年度は"ヤングケアラー"を題材にして展開をしているようです。

18歳以下の方が家庭内において、さまざまな事情で不自由に暮らすことになってしまった家族を支えていくということをそうしたことばで表現するようです、家庭に付きっきりにならざるを得ないことで、自分の将来をよりよくするための進学・就職を諦めなければならないという悲しき現実に陥ってしまった方々を家族以外の"おとな"にあたる人々が、そうした状況を察し、サポートしていく体制が必要ということを啓発した内容となっております。

CMの内容としては、まず音声だけで見ると「これが僕の日常、このことは誰も知らない」のみで、男子中学生とおぼしき方が、少年野球をやっている様子を尻目にため息をつき、家に帰って洗濯や炊事などの家事を行い、母親の介護を行っているという日常を紹介され、そして中学生の約17人に1人がそうしたヤングケアラーを行わざるを得ない状況になっており、野球のボールを握りながら机に突っ伏せて眠る、数学の教科書もおいてはあったけど、"新しい数学"とあるから、恐らく東京書籍かな、そんな感じで最後にACジャパンのナレーションで締めくくられる。

公式サイトでは周りにいる人々が気づいて、動きをとらなければならないというニュアンスの文面が含まれていても、テレビCMの30秒ではいまいちそれが伝わらないものがあった、もしかして最後のACのロゴのうえの「気づきを、動きへ」で表現しているのだろうか、だとしてももう少し明示化しておいたほうがより伝わりやすかったように思えるのですが、どうなのでしょうか、実際のところは。

何気に2年連続野球が題材になってるのですけれど、制作担当に野球に対して情熱を注いでいる方が上役にいらっしゃるのでしょうか。

とはいえ、まだ中学生。

高校以降でしっかりと野球ができるような環境になれるといいなと思いつつ、でも気づいたとしてもどのように動いていくかというのは、同じ2020年度の支援キャンペーンで展開されている民生委員に伝えるのも一つの手だとは思いますが、家庭内事情をヤングケアラーのみなさまは悪意を持って、間違った解釈で拡散されてしまうのではないかという恐怖やそもそもプライバシーを家族や親戚以外のひとに、そう簡単に伝えていくのはやっぱり個人情報の観点からしても控えておいたほうがいいということもあって、なかなか開示しないんだろうなというふうに見ています。

明るい事情ばかりではありません、むしろ触れられては困る案件というものが多くの場合備え付けてありますので、気づいたとしても動きにくい案件ではありますね。

ちなみにNHK首都圏ナビには、ヤングケアラーに関する特設サイトがございます。

どうも、彼ら自身がヤングケアラーと称するものに該当するかどうかわからない方々もいるようです、私も今年の半ばになってその存在をそういう形で表現するんだね、という認識で初めて認知いたしました。

元ヤングケアラーの方々の証言など、関連するさまざまなことが記載されております。

そして、どうしても中高生の目線でしかあまり見られない様相ですが、ケアされるご家族はいったいどのように思っていらっしゃるのでしょうか。

して当然と思っているのか、何とも言えずただただ迷惑をかけてごめんねと思いながら過ごしているのだろうか、どうなのでしょう。

される側の視点だと、支援している側がどのように見えるのか、こうした部分も捉えていきながら、この問題と向き合うことが大事なのかもしれません。

ちなみにCMの中学生役には、渡邉蒼さんが起用されております。

公開されたのは、7月の中旬から下旬にかけてでした。

7月1日に一新されるのですが、こうした状況下、いろいろ間に合わないこともけっこうあるんだろうねと思いながら。

広告学生賞ー総括ー

主に大学生の皆さまが制作され、BSを中心に放映されたり、新聞に掲載されたりする広告学生賞も第17回を迎えました。

テレビ・新聞のグランプリと準グランプリ作品は後ほどお伝えすることといたしまして、まずはそれ以外の作品を。

案外この広告学生賞の存在が翌年以降のキャンペーンの題材に出てくるということもありますので、軽視してはならない面もあります。

評価は5段階評価で5に相当する作品もテレビ・新聞それぞれ5作品以上あったそうで、それ以外の作品も4に相応するものとなっておりました、もちろんこれはあくまで審査員の基準でありますので、ひとりひとりどう思っていらっしゃるかは別でございますけれども。

テレビCM部門は、動画としてのものは見れませんが、題材として挙がったなかで奇抜だったのは、食品アレルギー、オンラインマナー、マスクのポイ捨て、というところでした、私の場合。

なかでもオンラインにおけるマナーというのは、テレワーク促進の観点からも翌年度以降のキャンペーンに上がりそうな気もしてなりません。

新聞部門では、全国キャンペーンのプラ島太郎と被ってるかなと感じた東京電機大学の「令和の時代の浦島太郎」もそうですし、目白大学の「クールジャパン?」というのも、なかなかインパクトのあるものでした、マイナスの意味を持ち合わせた日本語は、海外にもそのまま伝搬させたくはありませんわね。

審査員特別賞と優秀賞の間にとんでもなく大きなクオリティの差を感じました、実際の紙面に載せるにはちょっとな・・・という部分もあったような気がしました、恐らく審査員特別賞以上の作品がテレビ・新聞両部門で5段階の5だったということなのでしょう。

では、グランプリ・準グランプリのそれぞれの作品をそれぞれご紹介いたしましょう。

聞こえる優しさーテレビCM部門グランプリー

グランプリを受賞した東京工芸大学さんの受賞者によりますと、昨年度は優秀賞(SOSシグナル)を受賞し、今年は見事にグランプリということで、おめでとうございますと素直にことばを送り届けたいという気持ちです。

昨年度は視覚障碍者を目線に立って制作されたそうですが、今年度は聴覚障碍者の目線に立って「耳マーク」の認知向上に向けて、作られたのだろうなと認識しました。

動画を拝見しましたが、やっぱり字幕付きなのは、耳の聞こえにくい方々にとっても伝わりやすいものとなっていますね、もっと言うなら全国キャンペーンみたいにルビと手話があるともっと良かったかもしれませんが、洒落た店内BGMに乗せて、そこまで癖もなく、押しつけがましさもそんなになく「耳マーク」の紹介をしていたのは、高評価にもなるのかなとはね。

耳マークに関しては、けっこう前から存在していたそうですが、駅や電車内における広告展開を行い、認知度向上を図っている「ヘルプマーク」とは違い、あんまり認知されていないなと・・・、耳だけに特化していることもそうなのでしょうか、実際に対応している店舗やサービスもなかなか目撃するケースが少ないように思えます、と書こうとしたけれど、実際にはよくよく見てないだけですね、という感じでもあります。

これからこれを機会に耳マークを探していこうと考えております。

「耳マーク」に関しては一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会が、わかりやすい映像などで説明もしております。

どうでしょう、来年度以降の支援キャンペーンにぜひ、などと思いながら。

BSだけのオンエアなので、なかなかお目にかかれない面もあるのですけれどね。

牛の気持ちーテレビCM部門準グランプリー

武蔵野美術大学さんの作品です、広告学生賞ではもはや常連というような感じで見てます。

受賞者にとって一番苦労した点は、粘土で牛の人形を造り、それをコマ撮りして撮影したという点が同時に最大の見どころともあります、あと公共広告っぽくない雰囲気を出したということなので、見てまいりましょう。

食品ロスが題材です、こうした作品は応募作品のなかでも割と多くの作品に起用された模様ですが、グランプリ級の作品に輝くものは、まあ審査員特別賞を見ておりませんのでなんともという形になってはおりますが、クオリティ高いものになっております。

牛目線で描かれたCMは確かに、天に旅立たれた牛2頭が、食卓かレストランで出されたであろう恐らくは彼らがかつて肉付けされていた部位が入ったハンバーグを食べるお嬢ちゃんを眺めていて、結局トマトや付け合わせしか食べず、肝心のメインを食べずに「ごちそうさま♪」としたところ"ちょっと待て"→牛の気持ちも考えてや→よう考えたらトマトばっか食べてるやん という漫談っぽいような要素で終始展開されておりまして、確かに公共広告っぽくないなという感じにさせられます、もちろん立派な公共広告なんですけどね、でも最近はこうしたノリのほうが、若年層にとってはいいみたいです、説教じみたものなんて、敬遠してしまいますよね、たぶん恐らく。

でも、なんでハンバーグを頼んだんだろう?

そしてハンバーグなので、牛100%もあるとは思いますが、合い挽き肉ということを考えても、豚の気持ち、更にはつなぎとなる卵や場合によっては玉ねぎの気持ちも考えてやということで、携わったすべての食材の元となった方々で見守ってほしかったけど、あんまり詰め込みすぎると焦点ぼやけちゃうし、30秒でなく3分になってしまうだろうから、これはこれでまあ。。

っぽくはなかったし、ポークはいなかったけれど、そうした視点はやっぱり重要です、必要な分をしっかりとロスなく食べる、まずはそこから。

良い人ー新聞部門グランプリー

桜美林大学の学生さんが、見事グランプリを獲得致しました。

良い人の基準はそれぞれですが、そういう人ほど、とんでもない詐欺を行っているかもしれないという啓発を落とし込んだ作品というふうに捉えております。

昨今の詐欺の手口は巧妙で、進化を怠ることなく、警察もまた、その対策を強化しているなかで、我々一般はどうか、案外言うほど警戒していないんじゃない、いかにも悪そうだなってなったら感じてしまいそうですが、遜色なければ案外ころっと騙されそうですよね、だから私はきょうも騙し続けますよ、というメッセージが込められた作品。

確かに、それっぽい服装をしてそれっぽい公的機関を挙げて、じんわりと少しずつ急がせるようにしていけば、冷静にならないとまんまと騙されそうなので、そういった時ほど思い踏みとどまって各種サイトなどで、裏を取っていくなどを施して、身を守ってまいりましょうという気持ちになりました。

#完食  ー新聞部門準グランプリー

準グランプリは目白大学の学生さんでした。

公共広告に取り上げられる題材は、あんまり明るいものにはならないものばかりで、ポジティブにしていくのが難しいし、いかがなものかと懸念されるものもありますが、昨今では先ほども申し上げた通り、説教じみたものであったり、暗い視点で駆け抜けていく系のものであったり、そういうものはあんまり受け入れられず、「これ、やってみない?おすすめだよ😊」というインスタグラムによく見られる感じの投稿みたいなものが、案外受け入れられる社会になっているようです、少なくともインターネットをメインに活動している層にとっては。

#完食  というハッシュタグに気づいて、エゴサーチや実際に実践などして動いていくというACジャパンのキャッチコピーを体現した作品となっております。

一連のAC作品のなかで最後にポジティブに締めくくられるのは、なんだかありがたい限りです、準グランプリにしてはとっても惜しい作品で、ACジャパンが100周年に向かうためには、こうした視点で展開するのもひとつの手だとは思います。

紹介順としては、執筆する私としては最後にこうした作品を紹介するのはとても嬉しい限りです、表現がすまん、おかしくなりました。。

まあ、おじさん構文になりがちな私としては、なかなかキラキラとはできませんので、でもちょっとは砕けていこうかなと思います。

ほら、こんな料理を作ったよ、いただいたよというふうに料理の写真を添えることはあっても、食器のみが表示された写真はなかなか表示されないじゃない、ちょっと発信してみようよ、もしかしたら食器もインスタ映えするかもしれないかもしれないからさ、という感じのものだったとは。

目の前にあったパンケーキがiPhoneを通してみると、ヘタ以外はお皿の上になんにもない状態に映し出されている、この作品をこの後にインスタに投稿するんだろうなという雰囲気です。

なるほど、私も時々「#完食」で各種SNSをエゴサしてまいりましょうか。

身近にできる「気づきを、動きへ。」ですね。

以上、広告学生賞でした。

総評

ちなみに広報キャンペーンはございませんでした、50周年なのにね。

45周年の時に作品集みたいなのがあって、私はそれを汐留にあるアド・ミュージアムの書庫でおよそ2時間かけて見た思い出がありまして、そこで公共広告の変遷というものをしっかり見れましたし、あの作品はこのことねということは、ちゃんと把握できたのは大きかったとはね。。

50周年を迎えて、新たに展示イベントを行ったり、記念冊子を刊行するかもしれませんけど、長引く緊急事態宣言などもあって思うようにいってないのかなとは。

全体的に明るい作品が多かったかな、でも問題点の所在をずらしていたり、解決策はそれ以外にもあるよねとか、そんな明るい風潮でその問題を扱っていいの?っていう作品もあったりなど、制作者と視聴者・閲覧者の間でズレが生じているようなものもありました。

あと、新聞広告に注力するよりもインターネット展開の強化とかも図らないといけないのかもね、とは。

YouTubeなどの各種動画サイトで6秒CMを制作してみるだとか、一時期ちょっとしていたけれど、バナー広告を張り付けるだとか、そういったことも展開していかないと、とくに昨今ではテレビや新聞というよりはインターネットで情報を収集する方々が増加していっているので、そんな方々に届くように制作していかないと公共広告を展開する機関としては、影響力低下につながる気が致しますので、ぜひそうした広告展開も検討してほしい、といったけど、私自身はそんなとこまでACを見るのは辛いし、それこそゲリラACなんてAC恐怖症からしてみればたまったもんじゃないので、もしするならそうした方々をあんまりびっくりせず、若年層特化型で制作していくのはありなのかなと。。

なによりもまずは、1年間、地域は2年間なにごともなく完走していけますように、また2022年度のキャンペーンでお逢いいたしましょう、それでは。

あした・の・β<ベータ>

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