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人事評価は愛だぜ、愛【中小企業の初めての人事評価3部作②】

「中小企業の初めての人事評価制度3部作」は、初めて人事評価制度を導入しようとお考えの経営者様向けに、経営と人事評価制度の基本的な考え方に集約したブログとなっております。テクニックなどを覚える前に、人事評価制度において一番考えておいてほしい要素のみを、私が実際に弊社で構築している人事評価制度を作るにあたり大切にしていることを述べているブログです。

前回の記事では、人事評価制度は会社が目指す未来に一緒に連れていきたい誰か(=人材)を育てるツールだというお話をしました。

今回は、具体的にその「誰か」をどのように育てていくかをお話ししたいと思います。


今回のテーマは、人事評価において、人の「何を、どのように」見て(評価)していくかです。

・自分の会社の未来に不要な人を入れさせない
・自分の会社の未来に一緒にいることが想像できない人は評価されない
・自分の会社の未来に「一緒にいたい」と互いに思える人を高く評価する

ヒトを評価するということは、自分の会社の未来を評価するということでもあるかもしれません。


・事業を成長させていきたい
・会社の成長に貢献してくれる人材を育てたい
・人の問題に関するわずらわしさから解放されたい

とお考えの経営者様、どうぞこの先読み進めて見てください。

なお、タイトル画像は、弊社で導入予定の人事評価制度「愛する人事評価制度」の社員説明資料より抜粋したものです。



人の評価要素

では、ここでは人の何をもって評価していくべきかというお話をします。

基本的に人事評価の対象は「仕事の結果」「行動」「個人的個性」の3つです。

これら3つの要素を、あなたが作りたい組織に照らしてどこを重視していくべきかを考えていきましょう。

「図解人材マネジメント入門」を一部加工


①結果

1つ目は仕事の結果です。業績、成果などとも呼ばれます。

売上や利益などの営業数値、作り上げた製品などはもちろん、業務改善やミス削減。定常業務の遂行なども立派な成果です。

現在日本で多く使われている手法は目標管理(MBO)です。

期初に立てた目標に対して期末にどれくらい達成できたか(達成度)を振り返り、それを仕事の結果とします。

多くの企業では半期ごとの賞与として処遇しています。


②行動

2つ目は行動です。行動評価、能力評価、情意評価、コンピテンシー評価などの手法があります。

能力や意欲は目に見えないため図り難いものです。

しかし行動した事実は観察できます。行動から類推して、能力がある、意欲がある、と捉えることになります。

多くの企業では行動の評価を、昇進、昇格、昇給に反映しています。


③個人的特性

3つ目は個人的特性です。知識、スキル、基礎能力、性格特性などを指します。

採用時や大きな異動、役員や重要な役職への登用時に参考にします。

仕事の結果、行動とは異なり個人的特性は目に見えません。

適性検査やアセスメント、資格試験、技能テストなどの手法を使って把握することになります。


何を重視して評価するかは会社によって違います。

会社の考え方、社風、年齢等様々な要因をミックスして会社にとっての最適を模索していくしかありません。

参考となるよう代表的な4つの会社の事例を紹介します。

※紹介企業は「図解人材マネジメント入門」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より抜粋しております。

あなたのめざしたい会社はどの会社のタイプですか??

「図解人材マネジメント入門」を一部加工

事例1:サイボウズ
「人事評価とお金を切り離す」
ベンチャー中小・流動排出タイプのサイボウズでは、人事評価はお金を切り離すことで機能すると考えています。賃金は市場価値をもとに人事で決定します。そして成長のための人事評価は「信頼」をベースに行い現場マネージャーがフィードバックします。5つの行動(考える・知る・伝える・続ける・する)と公明正大を合わせた「Action5+1」で評価し、「業績」は評価しません

事例2:アカツキ
「やんちゃな目標」
ベンチャー中小・長期育成タイプのアカツキでは、合理的にKPIを負うことは成果につながらないと考えています。人事評価の仕組みは、自由度の高い目標管理と、カラフルステージ(等級)に照らした総合評価からできています。
自ら目指す「やんちゃな目標」が推奨され、なぜやるのか(Why)とその旅(プロセス)が輝くことが重視されます。
総合評価は業績と日々の行動、個人特性(オリジナリティ)から貢献価値を定性的・総合的に判断します。

事例3:リクルート
「We Can Must」
グローバル大手・流動排出タイプのリクルートでが、1人1人の主体的な想いを目標に結び付ける「We Can Must」によって人事評価を行っています。本人が実現したいこと(Will)、活かしたい強みや克服したい課題(Can)、能力開発につながるミッション(Must)からなる「WCM(目標管理)シート」を半年に一度記入して、上長とすり合わせることで目標となります。この目標の達成度によって賞与額が決定します。

事例4:トヨタ
「徹底した人規準」
グローバル大手・兆期育成タイプのトヨタでは、中長期で人を育てる日本的な職能考課をグローバル統一基準として世界に展開しています。「職能考課」で1年間の「発揮能力」を評価して月給や昇格へ反映します。そして「業績加点効果」で半年の「個人テーマ達成度」や「際立った成果」を評価し賞与へ反映しています。

流動排出タイプの2社は、評価することと評価しないことがシャープに明言されており、人事評価の対象が明確です。

長期育成タイプの2社は、総合的に人材を捉える人事評価を行っています。


いかがでしょうか?

あなたの目指したい会社を想像したとき、この4つの会社のうちどの会社に惹かれますか?

違う言い方をすれば、あなたの目指したい事業を想像したとき、そこで輝いている人材はどのような人でしょうか?

そのような人材を育てていくためには、どのようなポイントを評価(=褒めてあげる)してあげればいいでしょうか?

このように考えていくことで、あなたの会社で従業員のどこを評価してあげるべきかがわかってくるのです。



人事評価は「愛」だ

人事評価制度は愛だと言いました。

ここでちょっと恥ずかしい質問をします。

あなたはあなたの事業や会社をこの世で一番愛していますね?

では従業員はどうでしょう?

残念ながら、従業員の会社への愛は、平均しておそらくあなたの愛の100分の1程度だと思います。

「そんなものだ」と割り切るところから人事評価制度はスタートします。


そのうえで。

・自分の会社の未来に不要な人を入れさせない
・自分の会社の未来に一緒にいることが想像できない人は評価されない
・自分の会社の未来に「一緒にいたい」と互いに思える人を高く評価する

となるような人事評価制度をあなたが本気で構築したいなら、


「従業員を愛する」


ここから始めるのです。

従業員はもともと会社や事業を愛していない生き物です。

ではその生き物にどのように会社を愛してもらえるか?

そうです、経営者のあなたが従業員を愛してあげることですね。

あなたは、あなたほど優秀でない従業員を、あなたほど会社を愛していない従業員を、そう母なる愛で包み込んであげることで、従業員はあなたや会社に愛を返してくれるのです。

どのように愛してあげるかというと、

従業員の働ぎぶりをちゃんと見てあげることです。

自分のことを見てくれる人がいることが働く個人にとっては本当に力になります。

これはどんなに優秀な人にも言えることだと思います。

そして、ただ単に従業員の仕事を見てあげればいいのかといえばそうではなくて、働きぶりをきちんと見てあげて評価してあげる仕組みが必要だということです。

効果的なのが定期的な面談です。

年に一度の面談で人事評価をしている企業があるとします。

このような人事評価の陥りやすいミスが、面談の直前に活躍した人が評価されやすいということです。

例えば、季節変動のあるような事業であると、面談の直前に繁忙期があったとすると、この繁忙期で活躍した人が評価されやすくなってしまう。

半年前に60の貢献や成長を見せた人材より、最近の30の貢献や成長のほうが覚えているので評価されやすくなってしまうということです。

これを防止するために有効なのが面談を定期的に行うということです。

最低でも3カ月に一度は面談してほしい。

多いところでは毎月面談を行い、査定を3カ月に一度やる企業もあります。

そうすることで、社員をタイムリーに公平に評価してあげられるということです。


3カ月に一度?げー。。

と思われたあなた!キーワードは「愛」です!

あなたが本気であなたの考える未来を実現したいのであれば、それほどの愛情をもって従業員と触れ合う必要があります。

その愛を感じて、初めて従業員はあなたの会社に少しづつ愛を感じ、あなたの未来行きのバスに座り始めるのだと思います。



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いかがでしたでしょうか?

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今回は、事業の飛躍に必要な3つの要素のうち、組織戦略について、人材戦略の観点から切り込んでみました。

少しでもお役に立てた部分があれば幸いです。

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