【本要約】人間はどこまで家畜か
本記事を読むと、以下のことがわかります。
人間が家畜化している理由がわかる
家畜化を促進することが良いか悪いか考察出来る
こんにちは、けいごです。
読者さんは「サピエンス全史」という本をご存知でしょうか? この本では、一部「人間は小麦の家畜である」という内容をまとめています。
確かによくよく考えてみると、「小麦を効率的に量産している人間」は、小麦に飼われていると捉えることが出来ます。
このような捉え方もある中で、今回紹介する本では、また異なった「人間の家畜化」についてまとめられています。
本記事では、「人間はどこまで家畜か」といつ本を紹介します。
人間は家畜である
本書では、「人間は社会に飼われている」という趣旨のもとまとめられています。
著者には、人間が動物園の檻の中にいる動物と同じように見えていて、それは家畜化している人間の縮図のようと述べています。
動物園の檻と同じように、人間の社会にはルールが存在し、個々の人間はそのルールに乗っ取って生きるように強いられています。まるで、社会に飼われた家畜のような状態です。
そして、ルールを守れない、家畜になれない一定数の人間は、社会から外れ、阻害されています。
家畜化すると起こる変化
家畜化すると身体は形質変化します。
脳内のHPAというストレス系が構造変化し、ストレスホルモンが出にくくなります。
そしてストレスホルモンが出にくくなると、今度はセロトニンというホルモンが出やすくなります。セロトニンというホルモンは、興奮を抑えてリラックスする作用があるホルモンです。
その結果性格が穏やかになり、突発的な衝動を抑えることが出来るようになります。
家畜化すると身体が変化する
このように、ストレスホルモンの分泌量が減り、セロトニンの分泌量が増えると、身体にも変化が出ます。
一つ動物の事例として、キツネを使った実験を紹介します。
穏やかな性格のキツネだけを繁殖させて、様子を見る実験では、キツネが家畜化するとともに、脳が萎縮し、耳が垂れ、歯が小さくなり、尻尾が白くなる、といった「凶暴性がなくなる」形質変化が起きました。
同じように人間も、家畜化前と後では筋肉量が減り、歯が小さくなり、脳の萎縮が起きています。実は、人間の脳はホモサピエンスに進化してからは、家畜化が見られた他の動物と同じく萎縮し続けています。
このように、家畜化すると身体も穏やかな見た目に変化しています。
現代の精神疾患の患者は昔の英雄?
歴史の学派の一つに「アナール学派」というものがあります。アナール学派は、「文化から歴史を分析する」というものです。
この学派の研究対象として、ヨーロッパ文化があります。その研究の先駆けとなったノルベルト・エリアスは、中世以降のヨーロッパ文化の変化を研究しました。
中世の人々は時代が進むにつれ、礼儀作法が構築され、上流階級から中流階級、庶民へと普及していきます。すると人間の感性も変わっていきました。
中世騎士のような残酷で暴力的な行動は期待されなくなり、激烈な感情がメジャーからマイナーに変化していきます。
もし中世の英雄が現代にタイムスリップしたら、衝動を抑えられない精神疾患の患者として治療を受けることになるでしょう。
人間が家畜化する世界はユートピアか
以上のように、人間は家畜化するとともに穏やかになり、社会のルールにのっとり生活出来ない人は、排除されていきます。
様々な精神疾患が出来る原因は、「家畜になれない人」が社会に存在するからです。
ルールが整備されて、安全な社会が構築されるとともに、その社会の変化に対応できない人々は、生きづらくなっていきます。
すぐにカッとなって手を出してしまう人は、いじめっ子として、ハラスメントとして、矯正されることになります。
そして現代では、精神疾患をはじめ、発達障がいなどといった分類が益々細分化されていっています。細分化され、治療が可能になった世界では、遺伝子操作により、「家畜化」を進める研究が行われていくことになるでしょう。
果たして、そのような社会の変化はユートピアでしょうか、ディストピアでしょうか?
読者様も考えてみてください。
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