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【発達障害】未診断者に受診を促すのは親切なのか?

 先日、SNSの投稿を見ていたところ、あるASD当事者が未診断で苦しんでいる人に対し「あなたは発達障害だと思う。病院にいった方がいい」と伝えることが親切な行為にあたるという意見がありました。

 その理由は、投稿者も発達障害の診断を下される前は、叱責をされたり、周りについていけず苦しい思いをしたので、同じような状況にある人の助けになると考えたようです。

 しかし、この意見には反対する声が多く寄せられました。精神障害や発達障害はデリケートなテーマであり、誤った親切心が相手を不快にさせたり、偏見を助長するリスクがあるという意見が大半を占めていました。

 自分も同じ意見です。

 発達障害、特にASDを抱える人はこだわりが強いという特性があります。このこだわりは予期せぬことに対して非常に脆弱で、予測外の言葉や行動、状況など想定外のことに、パニックに陥る、怒りに囚われて癇癪をおこす可能性も考えられます。

 また障害の自覚がない人に対して、「障害があるように見える」というメッセージは、相手にとって予期せぬ衝撃を与える可能性があります。

 さらに、発達障害、特にASDの文脈を鑑みると、一般の人の理解や認識は決して肯定的とは言えません。どちらかといえば否定的に捉えている人が多い印象です。

 一般的に言われるASDの特徴は、「空気が読めなくてこだわりが強い人」というものです。このことについて多くの人は好印象を持つどころか、むしろ言われて不愉快に思う人が圧倒的に多いでしょう。

 例えば、もし自分が高校生の頃に同級生から「なんか見ているとさ、猫男君は空気が読めていないし、こだわりが強いからいつも苦労しているよね。悪いことは言わないから、一度精神科を受診した方がいいよ」と言われた場合、おそらく怒りとパニックに陥るでしょう。そして助言してきた同級生に敵意を抱き、精神科受診への抵抗感がより強化される結果になったと思います。

 したがって、当事者が未診断の人に受診を勧めても素直に受け入れられる可能性は極めて低いでしょう。

 親切心からとはいえ、結果として相手の感情を害し、敵意を引き起こすこともあります。

 まさに「小さな親切、大きなお世話」の典型例と言えます。

 ただ、ASD者は他者の文脈を感じ理解することが苦手です。自分の視点が他人にとっても適切なものだと思い込む危険性を孕んでいると感じます。そのため、未診断の人に発達障害の可能性を伝え受診を促すことは、正しいことで相手を救うことに繋がると迷いなく信じる可能性があります。

 自分は発達障害が疑われる人に受診を促したことはありませんが、上記のような思い込みで失敗したことがあり、特に注意を払っています。

 大事なことは発達障害や精神障害は特にデリケートな話題で、例え親切心だとしても慎重な対応が求められます。

 親切心のつもりでも敵意を向けられ不愉快な思いをするのは、お互い避けたいトラブルではないでしょうか。

 今回は、当事者が未診断の人に発達障害の可能性を伝え受診を促すことが親切かどうかという点について考察しました。

 最後までお読みいただきありがとうございます。

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