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生まれつつある道の現在地~一般国道184号道路改良事業

尾道の中心市街地を南北に貫く幹線道路が一般国道184号である。

今、この国道184号で、「一般国道184号 道路改良事業」が進行している。こちらの公式資料によれば、
「一般国道184号は、山陰・県北部地域と尾道市を結び、広域連携強化、物流効率化に寄与する重要な路線であり、尾道市内においては、山陽自動車道尾道IC やJR 新尾道駅などへのアクセス道路となる路線である。
当整備区間においては、尾道市中心部と市北部地域間の自動車交通需要の増大や平原土地区画整理事業等の開発により、朝夕は渋滞が発生している。
このため、交通の円滑化や交通安全の確保、山陽自動車道尾道 IC 等へのアクセス向上、災害時の緊急輸送路確保等のため、整備が必要である。
現在までに栗原工区、平原工区を完了し、門田工区に着手している。」
とある。
この今まさに生まれつつある道を、仮に184号バイパスと呼ぶことにしよう。

184号バイパスの工区を色分けして示した。グリーンの実線が完了した平原工区。ピンクの破線が現在工事中の門田工区。青の破線が未着手の新浜工区である。なお、栗原工区は既に現道の国道184号を改良する形で完成しているので、色は付けていない。
まず、完成済みの平原工区であるが、ここは平原台という新興住宅地と共に整備されてきた道である。現在の地図では、竜王山を取り囲むように住宅地が広がっているように見えるが、竜王山の西に位置する平原という土地は、ほんの20年ほど前には山林や原野であり、あるいは農地であった。
地図読みでも明らかだと思うが、このような新興住宅地は、区画が整然と整備され、道路にもそれなりの道幅がある。対象的に、尾道の古くからの住宅地は、ピンクの門田工区や青の新浜工区を見れば明らかなとおり、ぐにゃぐにゃと軽車道以下の細い道路が入り組んだ、雑然とした表記である。

各工区がおおよそどのような土地かということが分かれば、その工事の難易も何となく想像がつくかと思う。新興住宅地の平原台を通る平原工区(グリーン)は、住宅地の整備段階で184号バイパスの設置が織り込み済みなので、工事は比較的容易だ。
平原工区の北端と南端の空中写真を見ると、後に184号バイパスとして接続する予定の末端部の様子が分かって楽しい。

平原工区北端
平原工区南端

中央分離帯まで備えられた片側2車線の超高規格道路が唐突にぶった切られている様子は萌えるwこのまま未成道になってもらっても全然構わないw
という不謹慎な本音は置いておいて、平原工区ではとにかく立派な道路ができているのだ。

これに対して、古い住宅地をぶち抜く門田・新浜工区は地権者との交渉など含めてものすごーく大変そうだ。しかも、これら工区はどちらも平坦な土地ではなく、半分は山である。いやあ大変だ。ほんとに出来るんかや。

と、このように表向きは心配していたわけだが、どうやら門田工区では着々と工事が進んでいるようで。

突然だが、これは令和5年5月6日現在の写真だ。住宅や原野が散在する古い街並みの中に、突如強烈な異物感を伴って現れる壁がある。もちろんお察しのこととは思うが、あれはただの壁ではなく、184号バイパスの道路が乗る予定の築堤である。
この写真の撮影地点はここ。

空中写真で見ると工事範囲が丸分かりなのだが、周りの建物や道路のサイズに比べてかなりえげつない存在感がある。砂地の上に白い長方形の物が見えると思うが、あれは築堤の下を通るボックスカルバートだ。この空中写真の撮影は上に乗る築堤ができていない段階なので、その白いコンクリートの躯体が見えている。
さきほどの写真とほぼ同じアングルの写真がGoogleストビューにあったので、比べてみると工事の進捗が一目瞭然。

2022.6
2023.5

ちょっと画像が小さくて見えにくいかもだが、2022年6月段階ではボックスカルバートがむき出しである。それが2023年5月には築堤ができ、その中にすっぽりと収まっている。
先程の空中写真では、左側の太いボックスカルバートと、右側の細いボックスカルバートがあるのが分かると思う。この写真に写っているのは細い方。築堤の下を通る人道用のトンネルとして開通済みである。

現在地から北西に進むと、太い方のボックスカルバート式トンネルにたどり着く。ここでも過去と現在を比較してみた。

2022.6
2023.5

この変わりようである。門田2号トンネルという名前まで付けられて車道として開通している。わずか1年足らずの間に大きく景色が変わった。
現在の工事の到達度としては、この門田2号トンネルまで築堤が完成し、その西側の山を切り崩しにかかっているという段階のようだ。

2023.5

同じ場所からちょっと西を向くとこの有様。ここが工事の最前線である。

2022.6

ほぼ同アングル。ここの変わり方は物凄く、全く原型を留めていない。

2023.5

門田2号トンネルを通り抜け、築堤の北側へ。こちらは擁壁の組み立てが少し進んでいる。

2023.5
2022.6

これらはどちらも西側から門田2号トンネルを撮影したもの。2022年の写真に写っている自動車がある空き地も、選挙看板も、手前の木も、今やすべて土の下である。

2023.5

築堤の北側の道を東へ進んでいく。184号バイパスが高所にある平原工区へたどり着くために必要な道路の勾配がよく分かる眺めだ。
見えてきたのは先程の門田2号トンネルより規模の小さい人道用トンネルである。

2023.5

当然、門田1号トンネル。このトンネルを抜けるとすぐにスーパーの駐車場があり、写真でもわずかに駐車中の車が見えている。このスーパー、24時間営業のハローズは私のお気に入りである。

今は1号トンネルを通らず、引き続き東へ。築堤の「中身」が見えるくらい擁壁が低い所を目指していく。すなわち、工区の東端である。
それにしても、この巨大な擁壁沿いに住居を構える住人はどんな気持ちなのだろう。家の目の前に巨大な壁と道路がニョキっと生えてくるというのは・・・。

2023.5

間もなく東端。だが、この辺りで既に、将来の路面となるべき部分は未だ手つかずの砂地であることが分かった。

2023.5
2023.5
2023.5

工区の東端に達し、振り返って撮影。
擁壁は出来ているものの未だ道路としての整備は未着手の荒涼たる現場。目指す平原台は、この写真右に見える山の向こうである。まだまだ、遠い。

2023.5
2023.5
2023.5

最後に、門田1号トンネルを通ってスーパーの側から。
うーーん、、、やっぱり、異物感があってものすごく気持ち悪いな!

今回のルート

今回の移動ルートを上に示した。
歩いてみた感想が結局「気持ち悪い」だけなのは何だか申し訳ない気もするが、私の率直な感想である。もちろん、道が開通すればまた様子も変わるのかもしれないし、あくまでも現時点の感想なのだが。
皆さんがどう感じるかは分からないが、私の感覚では、家のすぐ近くに無機質で高いコンクリートの壁が立ち上がってくるのは気持ち悪い以外の何物でもない。景観としても違和感があって気持ち悪い。
便利になるのはいいことだし、地域住民が納得してれば私がどう思おうが意味はない。ただ、道路ファンとして、新しく生まれてくる道が歓迎され、愛されるものであってほしいと願うばかりである。


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