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弓道部をたった3週間ほどで辞めた話

高校生になったとき。
私は第一志望だった進学校に入れて、女子高生という肩書きを手に入れて、なんだかワクワクしていた気がする。
当時はJKなんて言葉はなかったけど、女子高生という響きは最高で最強だった。

中学はほとんど実体のない美術部に所属していたので、高校では真面目に部活動をやりたいなと思っていた。
複数の部活を見学して、中学にはなかった弓道部に惹かれた。
弓って、なんかかっこよくない?
気軽に触れられるものでもないしさ。ゲームでも武器として登場したりするし。
弓道着もかっこいい。
やっぱ袴ってなんかそそられるよね。いいよね。
そんな理由で、同じ中学だった友達と一緒に入部した。
そこで私は自分の体の虚弱さを思い知ることになる。


弓道はスポーツ。筋力や体力が必要。
最初っから弓なんて引かせてもらえるわけがないから、新入生は体力づくりから部活動が始まる。

まずは校内で筋トレ
中1くらいまでは習い事として水泳をやっていたくらいで、体育の授業でしか運動をしていなかった私。筋力なんてあるわけがない。
腕立て伏せなんかろくにできもしない。
苦しいけど、ただそれだけだった。ここまではよかった。

そのうち、ランニングも追加されることになった。
私の高校は坂の上に建っていたんだが、ランニングコースは坂の下まで走ってまた校門まで走って戻ってくるというもの。
それが何メートルくらいかも覚えてないが、これがとんでもなくしんどかった。
校門まで辿り着いたときには、もうこれ以上動けないんじゃないかってくらい足がプルプルに。立っていられない。
で、少しだけ休んだら筋トレに入る。
筋トレだけのときとは違う苦しさだった。
なぜなら私は喘息持ち。
たぶん、喘息持ちといってもどんなときに症状が出るかは人それぞれだと思うけど、当時の私は寒い時期や長い距離を走ると発作が出るタイプだった。
(短距離走なら問題はない)
入部当初は春。気候は問題ないが、ある程度の距離、しかも坂という負荷がある場所を走り続けると、必ず喘息発作が出た。
常に携帯用の吸入器を持参していたので、吸入をすれば発作はおさまる。
それでも、毎日走って発作出て吸入して…というのはつらかった。
発作を出すために走っているような気すらした。

体だけでなく、もう一つ問題があった。

福岡出身の方の多くは経験していると思うけど、福岡の学校には朝課外というシステムがある。本当にいらんシステムだ。(実際にいらんシステムだったようで、最近は廃止の傾向にあるとかなんとか)
朝課外、それはつまり0時間目。
学校によるが、8時前から授業が始まるのだ。
任意参加ではなく、強制参加。問答無用に授業は進む。
私の学校は7:40開始とかだったかな。記憶は曖昧。
朝課外に出るためには遅くとも6時半くらいには家を出てバスに乗らなければいけなかった。
季節によっては朝、まだ出ている月を眺めながらバスを待ったこともある。
朝課外のあとは毎日何かしらの小テストを受け、6時間分の授業を受けて、部活動して、帰宅。
帰宅したら、各授業でたんまり出された宿題と、翌日の授業の予習をこなす。
進学校はどこもこんなもんなのか知らないけど、本当に生徒のこと考えてる?ってくらい宿題が大量で大変だった。
生徒1人あたりの宿題が全科目でどのくらいの量になってるか、先生たち考えたことある?話し合ってもろて。そんな気持ち。
家に持ち帰りたくないから、授業の合間の小休憩にすませたりもしたな。
今思い返しても、人生で一番真面目だったと思う。高校時代。
…話を戻すと、喘息出しながら頑張って部活動したあと、家では睡魔と戦いながら勉強に取り組むという生活だったわけで、これを続けていくのは無理だと思った。

喘息以外は、ほかの生徒も同じ条件なので、ただ私が根性なしだっただけ。
辛抱もできなかった。情けないね。
弓道部に入ったのに、弓に触れないままやめるなんて。
弓を引くときの姿勢を習っただけだった。
でも、毎日喘息出すのも本当にきつかった。
だから、たった3週間で退部届を出した。
担任にも言われたよ、「ついこの前入部したばっかやろ」と。
本当に情けないし悔しいけど、辞めたい気持ちがまさった。


当時のことを冷静に振り返ると、喘息のことは先輩や顧問に一度相談してみるべきだったと思う。
そうすれば、例えば他の部員がランニングしてる間、代わりに筋トレメニューを増やして対応…なんてこともできたかもしれない。
本当に弓道部を辞めたくなければ、発作が出てしまうランニングだけ回避する術を模索すべきだった。
でも、そんなことも考えられずに辞めてしまったな。
「つらい、苦しい、そんな環境から抜けだしたい」という感情が上になってしまった。

これが、私にとって初めての挫折、かもしれない。


同じタイミングで入部した友達は、ちゃんと最後まで弓道部員をまっとうした。
華やかな実績は残していないかもしれないけど、3年続けただけで大したもんだよ。かっこいいな。本当にそう思う。


辞めたこと自体は後悔してないけど、辞める前に相談しなかったことは後悔してる。

以上、弓道部をたった3週間ほどで辞めた話でした。

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