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地球人の詩

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どんどん。【詩】

どんどん。【詩】

強い地響きが脳を揺らし、
ヒビを入れることさえ苦労する
固い壁を崩していく

強い声が頭から目の奥へ、指先へ

気がつくとわたしは
暗い暗い森のなかを
自分の足で走り抜けていく

チカチカ【詩】

チカチカ【詩】

半分あいた窓から他人の靴を見る
紫色がチカチカ 目を刺す

なんでまたそれを選んだのか
わからないけど、わかられたくもないでしょう

その瞬間に存在したはずのときめきは
あの人だけの、あの人のもの

ぱらぱらと【詩】

ぱらぱらと【詩】

たくさんの綿棒 床に落ちてった
ぱらぱらと
途端、わたしは引きもどされる

目の前に広がる、白の連続
あの人が作った 同じ景色

元に戻すのが面倒だと笑った

ああ そうか
こんなことさえ思い出なのか

ぱらぱらと 心をすこし掬ってみる
そうか わたしは 恋しいのか

コンビニ、チキン【詩】

コンビニ、チキン【詩】

コンビニの制服
感情が遠くなる
別にどうってこともないけど
蛍光灯の下で

お昼休憩
日本語で話す
別にどうってことはないけど
冷房の効いた部屋で

光るチキン
夏は辛い

光るチキン
夏は赤い

珈琲と海【詩】

珈琲と海【詩】

ふと唇から力が抜けると 
海がぐっと近くにきた

見せびらかすみたいに  
黒く光る 黒いが光る

手前に影をたくわえて  
異国の香りがふわりとくる 

これは仕事です
珈琲を入れてください
わたしはすっかり忘れていた

忘れられるのはいいことだ 
明日にはすっかりまるごと、やめてしまおう