【本に寄せて】水を縫う(寺地はるな・集英社文庫)
キーワードは「男なのに」「女らしく」「母親/父親だから」。
こんな言葉にムッとした経験のない大人がいるだろうか。
今の子どもたちなら、もしかしたらそういう言葉とは無縁に生きている子もいるかもしれない。
しかし多くの人がこれらの言葉に対して言いたいことのひとつやふたつ、抱えていると思われる。
私は主人公・清澄(きよすみ)の姉・水青(みお)の気持ちに寄り添って、この本を読んだ。
「かわいい」という言葉は私にとっても苦手な言葉だから。
それに私は人から褒められても、本当に自分が褒められているとは思えなくて、妙に白けた気分になる。
これまで抱えてきた自分の気持ち。
ハッキリ言語化せずに、もやもやと抱えてきた何か。
そんなものを、あらためて思い出してしまった。
この小説は「第9回河合隼雄物語賞」を受賞している。
なるほど、たしかに人のこころを支えるような物語だ、と思った。
読み終わった後、あらためてタイトルを見て驚いた。
あまりにもタイトルがぴったりだったので。
寺地はるなさんの他の本も探してみたい。
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