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【読書】うさぎパン(瀧羽麻子・幻冬舎文庫)

こういう話だろう…と思って読み進めたら、違う話だったことはよくある。

だからそこまで心配せずに読んでいたのだ。
しかし違う話だと思って読み進めたら、さらにまったく違う話だった。

「うさぎパン」は比較的短めな小説で、そのあとに書き下ろし短編として同じ世界のお話が書かれていた。

本編だけでこの世界から去るのがなんだかもったいなく感じていたので、同じ世界の短編がついていて嬉しかった。


ところでタイトルになっている「うさぎパン」だが、これはうさぎの形をしたパンのことを指す。

私の脳内には、うさぎパンの具体的な映像が用意されている。

しかし私の行動範囲に、うさぎパンを売ってる店が思い当たらない。
私の脳内のうさぎパンはいったいどこから来たのだろう。

脳内うさぎパンは、左を向いた全身の姿である。
耳は背中に沿わせている。
目にはドレンチェリー(さくらんぼの砂糖漬け)が埋め込まれている。

「Eat me!」とばかりにおとなしくしている、かわいい(あるいは可哀そうな)うさちゃん。

きっと子どもの頃にこんなうさぎパンを食べたことがあるに違いない。
だからものすごく具体的な映像が浮かぶのだ。

しかしいくら考えても、そんなうさちゃんに出会った記憶がない。

私の脳内のうさぎパンはどこから来たのか。

あるいは、小説を読んでいるうちに勝手に想像してしまい、それがあたかも数十年来の記憶であるかのように勘違いしてしまっているのか。

私の脳内うさぎパンに必要なドレンチェリー。
つまりはさくらんぼの砂糖漬けだが、こんな感じのものだ。(↓)
きっと、「あぁ、あれね!」と思ってもらえるはず。


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