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あさの/朝乃みちる はてブロに移行しました
2019年11月10日 21:50
夏の終わりはよく、人が死ぬような気がする。 だから彼はあの日、あの日差しの眩しさが目にしみると言っていたらしい。 その石には「金城家」と刻んであって、でも、こぢんまりとしていた。「あ……凜花(りんか)」 眉の下辺りでぱっつんとしてある前髪。 でも、プライベートでの彼女はツインテールなんていう幼い髪型なんてしていない。 当たり前だ、本来の久保田明里というのは聡明な女性である。「何
2019年7月11日 18:57
あたしが玄関の扉を開けると、そこにはずぶ濡れの女の子がいた。「いや、でも……でも、あなた本当は」 男じゃないか。 あたしがそう言いたいのを知っているのか、彼女は切羽詰まった声で「いいから何とかして」と言った。「……なぁ、肉まん……どうしよう」 その晩はまるで台風でもやって来たかのようで、梅雨の風情もへったくれもなかった。 そんな中、女の子は胸元のはだけた、白いワイシャツ姿でうなずいた
2019年6月27日 18:32
風俗の人間と、芸能人って対して変わらないんじゃないかと、あたしは思う。 だってさ、アイドルって「偶像」っていう意味なんだって。 偶像っていうことは、本当の神様ではない。 本物ではない。 人間が憧れ、崇め、すがるための存在。 人間にとって都合のいい存在。 ……世界を掌握しているのは、神様じゃなくてむしろ人間だろうと思う。「わぁ……カナタちゃん、いつも本当にそっくりで可愛いよ」「や
2019年5月21日 19:44
「ボクのおかげで、晴れました!!」 小柄な彼女は両手を広げて、潮風の香りをいっぱいに吸い込んでいた。「うーん! どこまでも青いね、サナちゃん!」 空の青と、一面に咲き誇るネモフィラがつながっているように見えた。 その中で彼女の派手なオレンジ色の、短い髪はとても目立った。「ボクらは今、海浜公園に来ていまーす! どう? すごいね? すごいでしょー!」 セナは、アマチュアとはいえ演劇畑の人間