佐賀県(唐津通学圏/杵藤・伊万里通学圏)ホンネの高校選び【無料記事&有料相談】
佐賀県(唐津通学圏/杵藤・伊万里通学圏)にあるすべての高校の特徴と選び方を、朝森久弥が解説します。偏差値という指標をあえて使わず、進路希望や学習内容に本音で向き合い、高校受験生とその保護者の方が「入って楽しめる高校」を主体的に選べる情報を提供します。
この記事でいう唐津通学圏とは、唐津市と玄海町のことです。
この記事でいう杵藤・伊万里通学圏とは、以下の市町村のことです。
武雄市・鹿島市・嬉野市・白石町・江北町・大町町・太良町・伊万里市・有田町
佐賀県のうちここに挙げていない市町村については、「佐賀県(佐賀・鳥栖通学圏)ホンネの高校選び」をご覧ください。
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都道府県の個別事情によらない一般的なアドバイスを知りたい人は、noteのマガジン「朝森久弥流・ホンネの高校選び」をご覧ください。
この記事はとくに断りがない限り、2024年7月時点の情勢に基づいて執筆しています。将来的に、高校の統廃合やコース名変更などが起こる可能性があります。
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唐津通学圏
唐津通学圏の全高校Map
中学校卒業者数:1309人(2023年3月)
高校数:10校(公立8校+国立0校+私立2校)
JR唐津駅(唐津市)周辺に高校が集まっている。JR厳木駅(唐津市)からJR唐津駅までは片道30分余りだが、JR伊万里駅(伊万里市)からJR唐津駅までは片道1時間弱かかる。玄海町には鉄道路線がないが、唐津市中心部と行き来する路線バスが走っている。
大学進学を目指すなら
公立高校からいわゆる難関大学を目指す場合、唐津東高校(唐津市)に進学するのが望ましい。合格するには通学圏内で上位18%(中学校35人クラスで6位以内)の学力が目安となる。ただし、唐津東高校は中高一貫校であり、定員の半数は併設の唐津東中学校からの内部進学で占められる。したがって、通学圏内にある唐津東中学校以外の公立中学校から唐津東高校に合格するには、中学校内で上位10%程度の学力が必要だろう。
唐津東高校が学力的に少し厳しい場合が大学には進学したい場合、公立の唐津西高校(唐津市)か、私立の敬徳高校(伊万里市)の普通科総合進学コースを検討することになるだろう。これらの高校・コースの大学進学率は7割程度で、短大・専門学校進学者や公務員就職者が一定数いる。なお、唐津市から敬徳高校へはスクールバスで通学可能だ。
早稲田佐賀高校(唐津市)はその名の通り早稲田大学の系属校で、卒業生の約50%が早稲田大学に推薦で進学できる。寮をもつ私立中高一貫校で、佐賀県出身の生徒は1割未満しかおらず、福岡県や首都圏出身の生徒が多い。唐津通学圏に位置する高校ではあるが、唐津通学圏の人が積極的に選ぶ高校とは言い難い(選ぼうと思っても合格難易度が相当に高いのだが)。
大学以外の進路も考えるなら
商業科志望なら、唐津商業高校(唐津市)を選ぼう。
工業科志望の場合、公立の唐津工業高校(唐津市)ならば機械科・電気科・建築科・土木科の中から選べる。高卒で自動車整備士になりたいなら、私立の敬徳高校(伊万里市)の自動車整備科を選んでもよい。
農業科または家庭科志望の場合、公立の唐津南高校(唐津市)を検討する。唐津南高校の生産技術科は園芸や畜産が学べ、食品流通科は食品加工を学ぶほか、"流通"ということで商業系の科目も学べる。生活教養科が家庭科の学科に相当し、保育やファッション、調理などが学べる。
高校入学時に専門を決められない場合、敬徳高校(伊万里市)の普通科普通コースや唐津青翔高校(玄海町)の総合学科、多久高校(多久市)の総合学科に進学すると、2年生から自分の興味に合った系列・コースを選んで学ぶことができる。通いやすさと系列・コースのラインナップを調べて選ぶとよいだろう。なお、これらの卒業者の大学進学率は1割程度で、卒業後に短大・専門学校進学や就職を考える生徒が多数である。
厳木高校(唐津市)は2年生で進学コースと就職コースに分かれる普通科で、地元の高校進学ニーズに応えるほか、不登校経験や高校中退経験、発達障碍をもつ佐賀県民を積極的に受け入れることを表明している。入試でも、調査書を点数化せずに選抜する枠を設けている。また、全県から通えるように始業時刻が9時35分と遅めに設定されている。
全日制以外の高校は
公立では、唐津商業高校(唐津市)が定時制課程をもつ。授業は夜間に行われるが、佐賀北高校の通信制課程でも学習して単位を取得することで、3年間で卒業することもできる。また、佐賀北高校(佐賀市)の通信制課程は唐津西高校(唐津市)でスクーリングをすることもできる。
私立では、敬徳高校(伊万里市)が通信制課程をもつ。
杵藤・伊万里通学圏
杵藤・伊万里通学圏の全高校Map
中学校卒業者数:2148人(2023年3月)
高校数:13校(公立12校+国立0校+私立1校)
通学圏内に幅広く高校が散らばっている。JR江北駅(江北町)からJR佐賀駅(佐賀市)までは片道20分弱であり、江北町や大町町、白石町在住であれば佐賀市内の高校に通学するのはたやすい。JR肥前大浦駅(太良町)からJR江北駅までは片道50分余り、松浦鉄道伊万里駅(伊万里市)から松浦鉄道有田駅までは片道30分弱。嬉野市では2022年に西九州新幹線の嬉野温泉駅(嬉野高校嬉野校舎の近くにある)が開業したことに伴い、新幹線通勤・通学する市民を対象にした定期券購入補助事業を始めた。
大学進学を目指すなら
通学圏内でも、居住地によって選択肢が異なる。
JR武雄温泉駅付近まで通学できるなら、公立の武雄高校(武雄市)がいわゆる難関大学を目指す上ではリーズナブルだ。武雄高校の定員の半分は併設の武雄青陵中学校からの内部進学者で占められるので、中学受検を経ての進学も視野に入れたい。伊万里市・有田町であれば公立の伊万里高校(伊万里市)、鹿島市・白石町・太良町であれば公立の鹿島高校(鹿島市)の普通科を選ぶと通いやすい。
武雄高校・伊万里高校・鹿島高校の3校はいずれも"松"の教科書を使う。高校入試はしばしば定員割れするので合格は難しくないかもしれないが、高校入試の一般選抜の学力検査で175点(得点率70%)以上が取れないようだと、授業についていくのが大変なので覚悟しよう。
武雄高校・伊万里高校・鹿島高校の3校の授業についていくのは自信がないが、大学には進学したい人は、公立の白石高校普通科キャンパス(白石町)か私立の敬徳高校(伊万里市)の普通科総合進学コースのうち、通いやすい方を選ぶのがよいだろう。なお、敬徳高校は鹿島市・嬉野市・武雄市方面にスクールバスを走らせている。
以上はあくまで杵藤・伊万里通学圏の中で高校を選ぶ場合の話で、通学に時間がかかりすぎなければ佐賀市内の高校を検討してもよい。具体的な高校名は「佐賀県(佐賀・鳥栖通学圏)ホンネの高校選び」の「大学進学を目指すなら」を参照すること。
大学以外の進路も考えるなら
通学圏人口の割に、職業学科が充実している。
商業科志望の場合、白石高校商業科キャンパス(大町町)の商業科・情報ビジネス科、鹿島高校(鹿島市)の商業科、伊万里実業高校商業キャンパス(伊万里市)の商業科・情報処理科から選べる。いずれも公立だ。
工業科志望の場合、伊万里市・有田町・武雄市在住なら公立の有田工業高校(有田町)、嬉野市・鹿島市・白石町・太良町在住なら公立の嬉野高校塩田校舎(嬉野市)が通いやすい。大町町・江北町在住ならこの2校に加えて、佐賀工業高校(佐賀市)にも通いやすいだろう。ちなみに、有田工業高校は県内唯一のセラミック科・デザイン科をもつ。さすがは有田焼の地元だ。
高卒で自動車整備士になりたいなら、私立の敬徳高校(伊万里市)の自動車整備科を選んでもよい。
農業科志望の場合、公立の佐賀農業高校(白石町)か、公立の伊万里実業高校農林キャンパス(伊万里市)を検討する。
鹿島高校(鹿島市)の食品調理科は、卒業すると調理師免許が取得できる。
嬉野高校嬉野校舎(嬉野市)は総合学科だが商業系列と社会福祉系列の2系列しかもたないので、商業や福祉の授業に興味がある人にオススメする。このうち社会福祉系列を選ぶと介護福祉士国家試験受験資格が得られるが、1年生から福祉の専門科目の授業を受ける必要があるので気を付けよう。
専門に特化しない選択肢としては、敬徳高校の普通科普通コースと、公立の太良高校(太良町)の普通科がある。
太良高校は厳木高校(唐津市)と同様、不登校経験や高校中退経験、発達障碍をもつ佐賀県民を積極的に受け入れることを表明していて、入試で調査書を点数化せずに選抜する枠を設けている。県の端に立地しているが、始業時刻が9時30分なので遠方からでも通いやすい。
全日制以外の高校は
公立では、有田工業高校(有田町)と伊万里実業高校商業キャンパス(伊万里市)が定時制課程をもつ。どちらも授業は夜間に行われるが、佐賀北高校の通信制課程でも学習して単位を取得することで、3年間で卒業することもできる。
立地を考えると、江北町や大町町・白石町・鹿島市あたりからでは佐賀工業高校・佐賀商業高校の定時制課程の方が通いやすいだろう。
私立では、敬徳高校(伊万里市)が通信制課程をもつ。
佐賀県の高校入試事情
唐津通学圏/杵藤・伊万里通学圏には私立高校が1校(敬徳高校)しかないので、公立高校の定員が余裕を持って設定されている。このため、唐津東高校を除けば定員割れが珍しくない。合格自体はしやすいからこそ、興味と適正に合った高校を選ぶのが大切である。
全日制課程の公立高校入試は、大きく特別選抜と一般選抜の2回に分かれる。
特別選抜は「スポーツ」または「文化芸術」で実績のある受検者を対象に行われる。"男子野球で6人、女子バスケットボールで2人…"のように人数が細かく決められているのが特徴だ。該当する実績や実技検査の評価だけでなく、国語・英語・数学の学力検査も実施されて評価される。学力検査・実技検査・実績評価表の配点を50%以上に設定することが決められており、一般的な推薦入試のイメージで語られるような"内申点でほぼ決まる"入試ではない。
一般選抜は学力検査と面接、調査書で評価される(美術科やデザイン科では実技検査も)。
学力検査は50点×5教科=250点満点。定員の一部を傾斜配点で選抜することが認められている。
調査書は、学習の記録に記載された1~3年生の評定(いわゆる内申点)が点数化されることになっているが、学年間・教科間での内訳は非公開。満点は高校によって異なる。また、学習の記録以外の内容、具体的には生徒会活動や部活動の実績、資格取得、出欠の記録なども点数化される。
一般選抜での合格者の決定は「選考Ⅰ」と「選考Ⅱ」の2種類がある。
「選考Ⅰ」は、学力検査比率を学校の裁量で変化させられる選考で、定員の約2~5割を合格させる。学力検査比率を低めにして、学力検査250点+調査書・面接250点=500点満点としているパターンが多いが、佐賀西高校や致遠館高校などでは学力検査比率を60%以上に設定している。
「選考Ⅱ」では、学力検査比率を原則一定にする選考で、定員の多数を合格させる。ほとんどの高校が学力検査250点+調査書・面接100点=350点満点としている。この場合、学力検査比率が71%となり、全国的には学力検査重視と言える。
「選考Ⅰ」でも「選考Ⅱ」でも、調査書の学習の記録以外の内容の配点が結構大きく、いわゆる内申点よりも重視する高校もある。このことから、佐賀県の公立高校では、いわゆる内申点で"逃げ切れる"余地が比較的小さいと考えられる。
公立高校入試の一般選抜の学力検査は、平均点が130点台後半(得点率55%)前後で推移している。【1】の普通科を目指すなら175点(得点率70%)以上を目標にしたい。
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