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その砂漠は一体どこだったのか【SF ショートショート】

気づいたら私は砂漠に立っていた。高校の制服らしいセーラー服を着ている。ああ、私は女子高生なのね。

砂漠の端には広大な滝が流れていた。堀のようにこの砂漠を丸く囲んでいる。滝壺は深く幅は広く、とてもじゃないけど向こう側へ渡ることなどできない。巨大で丸いクレバスのようだ。

私は砂漠に閉じ込められている?どこから来たのかもわからない。

とりあえず歩いてみることにした。しばらく歩いていくと、向こうから鳴きながらシャム猫が近づいてくるのが見えた。10年前に死んだ飼い猫のタマだ。どうしてこんなところに。私はタマをそっと抱き上げるとまた歩いた。

すると今度はテナガザルが。子猿のようだ。親とはぐれたのね。

私は右肩に子猿、左にはタマを乗せて歩いた。二匹は時々首の後ろでちょっかいを出し合っていた。

しばらく歩くと突然ごうという音がして、大量の水が流れてきた。それと同時に色んなものも流されてきた。電話ボックス、信号機に水色のボンネットバスまで。

私は二匹が流されないように必死で抱え、なんとか電話ボックスに掴まった。

そこで目が覚めた。夢か。

それにしてもおかしなところで寝ている。宇宙船のコックピットみたいな部屋で、金属の冷たいベッドのようなものに寝かせられ、ヘルメットのようなものをかぶせられ、手首足首にも何か金属製のものがはめられている。腰の部分をベルトのようなもので留められているので起き上がれない。検査着のようなものを着ている。病院で検査でもしている間に眠ってしまったのだろうか。

「やあ、起きたのか」

白衣でメガネをかけた男性がやってきて、体中につけられたものを外してくれた。やっぱり病院だったみたいだ。

立ち上がりぼんやりしていると、その男性に声をかけられた。

「整備したら忘れてしまったんだな、こっにちへおいで」

私は言われるままにその男性についていくと、リビングのようになっていた。驚いた。病院ではなかったのか。

男性が指差すところには白い帆布を張った置型のハンモックがあった。

「充電するといい」

ああ。思い出した。私はアンドロイドだった。ハンモックに横たわって充電をはじめた。

充電しながら思い出した。あれは彼女の記憶。博士は記憶を私に移植したのだった。


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ガチに見た夢の話に加筆修正してみました。

安部公房風の、夢みたいなのにリアルで繋がりのある話を書きたいので、その足がかりになればと思っています。

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