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魔法のクリスマスツリー【ファンタジー ショートショート】

4歳のトモヤはクリスマスが大好きだった。クリスマス飾りをすると、クリスマス、きれいだねー。トモくんクリスマスだあいすき!とはしゃぐ。
我が家は12月の初めからツリーやガーランドを飾り始め、12月26日には片付けることにしていた。
しかしトモヤが生まれてからはそれが大変になった。片付けを阻止されるのだ。
だから、彼の寝ている間に、気づかれないくらい少しずつ片付けていき、大晦日までになんとか完了させるというのが、我が家の常になった。
クリスマスツリーくらい気にせずに飾っておけばいいじゃないか、とおっしゃる方もいるだろう。
しかし、そうはいかない理由があるのである。

トモヤが1歳の頃から、彼がクリスマスを好きなことは家族の誰もが知っていた。そして、片付けに難儀したのもこの年からだ。
トモヤが2歳のクリスマス、私は前の年のことを思い出し、トモヤに気づかれぬよう、徐々に片付けを行うことを思いついた。そしてその方法は大成功し、しめしめと心の中で喜んでいた。
お正月も過ぎ、節分もバレンタインデーも、ホワイトデーも過ぎ、長男の小学校の入学式の日のことだった。例年にないドカ雪が降った。こんなこともあるもんだねえ、と言いながら、雪道を長男とトモヤと手を繋いで帰ると、居間にクリスマスツリーがあるではないか。な、なぜだ?と驚愕していると、トモヤがにこっと笑って「僕が飾ったの」と言う。「お兄ちゃんのお祝いしたかった」と言うので注意もできず、お兄ちゃんも喜んでいて、誉めてその場は終わったような気がする。
実は、トモヤがクリスマスツリーを飾り、雪が降ったのはこの時だけではなかった。ファンタジーは好きだが、私だってさすがに大人である。たったの1回のことで、しかも家のクリスマスツリーが原因で、関東全域に雪が降るなんて思ったりはしない。
トモヤは3歳の冬に何回もクリスマスツリーを飾って、雪を降らせている。しかも毎回交通に影響が出るほどのドカ雪だ。
そしてトモヤにとって4度目のクリスマスがやってきた。いつもどおり彼は大喜びだ。
クリスマスパーティはつつがなく終わり、もうその頃から、私には緊張が走っていた。今年はうまく片付けなければ‥。トモヤにはけっして見つからないところへ‥。
実はもうこの一年の間に、隠し場所は決めていた。外の物置だ。物置には家庭菜園などで使う道具が入っていて危ないので、トモヤには「物置にはオバケが出るよ」と普段から言ってあり、彼はそれを信じているから、何があってもそこにはけっして入らなかったのだ。
そして私はトモヤの寝ている間に、クリスマスツリーを物置にしまうことに成功した。
トモヤは、なくなったクリスマスツリーに寂しそうな顔をしたが、また来年には出てくるよ、と言うと、それなりに納得した顔をしていた。
そのシーズンは暖冬で、一度も雪は降らなかった。私はほっと一安心していた。

8月のある土曜日、夫が「明日は海水浴でも行くか」と言った。長男もトモヤもはりきって準備をしていた。そのときトモヤは何かを思い出したらしく「僕、庭に行ってくる」と言って部屋を出た。
「いってらっしゃーい」と送り出してから、私ははっと気づいた。今朝庭いじりをして、道具を出したままで、物置の扉が開けたままだったのだ。
慌ててトモヤを追いかけるも、時遅し。
「僕、見つけたんだ」
嬉々としてクリスマスツリーを抱えてきたトモヤを、もう止めることはできなかった。
翌日は大雪が降って、海水浴には行けなかった。
トモヤが嬉しそうに雪を見ていたのだけが幸いだった。


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季節外れのクリスマスツリーの話でゴメンナサイ💦先週思いついたので‥‥。

そういえば、同題の児童書があったのを思い出しました!内容は忘れましたが、面白かったような記憶が残ってます☺

書いてると、色んなこと思い出せるので嬉しいです✨


本当は、今日は恋愛小説を挙げるつもりでしたが、世間はホリデーということで、明るい小説にしました✨

次回はアンニュイ?な若干エロティックな恋愛小説です。苦手な方、ゴメンナサイm(_ _)m


ゲームのイベント、昨夜無事終わりました!祭りのあとの淋しさがありましたが、分かち合える人もなく、1人「ラブステージ」という腐女子向けのアニメを見ながら晩酌しました。でもときめきましたけどね(^_-)あ、腐女子だから当たり前か(笑)

昨夜11時頃仕事の依頼ありましたが、まだゲームのイベント中だったので、夜遅いし明日にしようと言い訳をし、さっき終えました(院長ゴメン🙏)。

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